地震や火事などいつ起きるかわからない災害時に、暮らしに欠かせない電気・ガス・水道などのライフライン確保について、誰しも一度は考えたことがあるのではないでしょうか?

電気・ガス・水道(上水道、下水道)は、毎日の生活で欠かすことができないものです。
中でも水は、生命を維持するために必要である上、病気などの予防のためにも身の回りを清潔に保つために必要となる場面も多くみられます。

地震などの影響で断水すると、普段どれだけ気軽に水を使っていたかを思い知らされ、反省することも。
そんな災害時に「井戸」があれば、断水の恐怖から解放されるかもしれません。

今回は「井戸」と「防災」について探ってみることにしましょう。

各地で見直されている「防災井戸」

「防災井戸」とは、一般的に洗浄やトイレの排水等の生活用水に利用する目的で使用される井戸のことを指します。

2011年の東日本大震災以降、防災井戸が様々な地域で見直されています。
長引く避難生活の状況が多くのメディアで報道され、飲料水としての水だけでなく、お風呂に入ったり、汚れた衣類を洗濯したりするための生活用水の必要性を多くの方が痛感したのではないでしょうか。

こうした生活用水は、1人1日10〜15リットルは必要と言われています。とても、給水車や備蓄している水では賄うことはできない量です。
そこで、上水道に変わる水の供給元として「井戸」が改めて見直され、注目を集めるようになりました。

使わなくなった井戸をお持ちの方の中には、業者に修復を依頼して井戸を使えるようにしている方も増えています。
また、オフィスビルやマンションなどから、災害に備え井戸を設置したいという依頼が増えているそうです。

井戸が災害時に有効な理由


一般的に水道管というのは、地震の揺れの影響を受け一部でも寸断されてしまった場合、その地域一帯への水の供給自体ができなくなります。

一方、井戸の場合は水道管と異なり、地面に垂直に伸びています。そのため、地震発生時は周りの地層と一緒に動き、水道管と比較して破損しにくいといわれています。

そんな井戸の特性により、近年は災害に備えて水を備蓄しておくための防災対策として井戸の役割が見直され、改めて注目されています。

井戸は、耐震用補強工事も施すことでより耐震性の高い井戸にできるほか、手押しポンプがついた井戸であれば、電力に頼らず水を使うことができるなど、防災面での大きなメリットがあります。

とはいえ、普段使いを考えると電動式ポンプを使った方が便利だと思われる方も多いかもしれません。
電動式ポンプの中には、ボタン一つで電動式から手押しに切り替えられるものもありますので、普段使いもできて防災井戸としても使いたい方は、そういった機種も選択肢にいれてみると良いかもしれませんね。

災害時の井戸活用のための取り組み

各市区町村でも災害時の井戸の重要性が見直され、積極的に井戸確保の取り組みが行われています。

その中でも、井戸所有者を対象として災害時に井戸を近隣の方に解放する「災害時協力井戸」の募集を行う自治体が増えています。
災害時協力井戸の所有者には、手動ポンプの設置費用や井戸の電動ポンプに使用するための発電機の購入費用の助成などを行っているところもあります。

また、これまで災害時の井戸水利用は生活用水が中心でしたが、浄水機器の発達によって飲料水としての利用も検討されています。

災害時、水の確保によって身の回りや住環境を清潔に保つことができれば、病気にかかる確率やストレスの軽減にも役立つのではないでしょうか。
今後、ますます井戸の見直しが進みそうです。