手洗い洗濯はかつて、水を使う家事の中でも特に重労働とされていました。そのため、洗濯機の登場は家事を担っていた当時の主婦層から大変喜ばれたものです。
しかし、そんな辛い家事の代名詞だった手洗い洗濯も、最近は「持たない暮らし」を目指すミニマリストの方による実践や、緊急時の洗濯手段として注目された影響で見直されてきているのをご存知でしょうか?

そこで今回は、手洗い洗濯の方法や手順、注意点についてご紹介します。

全自動洗濯機の時代に手洗いで洗濯するメリットとは?

現在は全自動洗濯乾燥機を使えば洗濯から乾燥までボタン一つで完了してしまう「家事電化時代」です。しかし、それにもかかわらず、一部では次のような理由から手洗い洗濯を実践する方が増えているのです。

電気が使えないときも洗濯できる

地震や洪水といった災害で停電し、洗濯機が使えないときでも、手洗い洗濯であれば少量の水とたらいがあれば簡単に洗濯できます。
そのため、こうした緊急時でも電気や機械に頼らず洗濯できるよう、手洗い洗濯に慣れようとする方が増えています。

服が長持ちする

手洗い洗濯は洗い方を自分で細かくコントロールできるので、デリケートな素材の服でも優しく洗えて、服が長持ちする傾向があります。

旅行先でも気軽に洗濯できる

旅先では着替えで洗濯済みの服を切らしてしまいがちですが、こんなときでも服や下着を石鹸で手洗いすれば、着替えを新調しなくて済みます。

電気代と水道代の節約になる

手洗い洗濯では、洗濯に必要な分だけの水をたらいに入れて使うため、水を無駄にしにくいというメリットがあります。
もちろん電気を使わないので電気代の節約にもなりますね。

手洗い洗濯の基本的な洗い方

手洗い洗濯には電気や使える水の量、場所などの制限がある場合でも衣類を清潔に保てるというメリットがありますが、一方で次のような多様な洗い方ができるというメリットも持ち合わせています。

押し洗い

押し洗いは、洗剤を溶かした水の中で洗濯物を軽く押しながら、繊維内の汚れを押し出す洗い方です。
手洗い洗濯の中では最も一般的な洗い方で、大きめの服やシーツなども洗いやすく、生地が傷つきにくいのがメリットです。

つまみ洗い

つまみ洗いは、汚れている部分を指でつまんでこすり合わせながら汚れを押し出す洗い方です。
食べこぼしや血液などは洗濯石鹸を付けて洗うとより落ちやすくなります。

こすり洗い

こすり洗いは、洗濯物全体を軽くこすり合わせながら汚れを落とす洗い方です。
洗濯板を使う際によく見られる洗い方ですが、デリケートな素材の場合には生地を傷つけてしまったり、型崩れの原因となってしまったりするため向いていません。

つけおき洗い

つけおき洗いは、洗剤を溶かした水の中に洗濯物を一定時間つけておき、汚れを浮かせる洗い方です。
人の手で力を加えないためデリケートな素材の洗濯には適していますし、シミ落としにも有効です。

振り洗い

振り洗いは、洗剤を溶かした水の中で服を軽く揺らし、なびかせるようにして汚れを落とす洗い方です。
服に強い力を加えないので、デリケートな素材や型崩れしやすい服の洗濯に向いています。

手洗い洗濯の準備と手順

それでは次に、上記の手洗い洗濯の方法をふまえた上で、準備する道具と洗濯手順についてみていきましょう。

1.洗濯洗剤・たらい・水・バスタオルを用意する

手洗い洗濯で最低限必要になるのは洗濯洗剤(または石鹸)とたらい、水、バスタオルです。旅行先でたらいを用意できないときは、洗面所やバスタブの中で行いましょう。洗濯板は必須ではありません。
洗剤で手が荒れやすい方はゴム手袋を着用して洗剤の刺激からお肌を守るようにしてください。

2.たらいに水を張る

まずはたらいに水を張ります。水の量は洗濯物の量に応じて調節しますが、洗濯物全体に水が十分行き渡るくらいの量を目安にしましょう。

3.洗剤を溶かす

次に洗剤をたらいの水の中に入れて溶かします。このとき、洗濯洗剤の量が多くなり過ぎないよう、使用方法と使用量をしっかり確認しておきましょう。洗剤を使い過ぎるとすすぎに時間がかかる上、水を大量に使ってしまうため節約になりません。
なお、冬場で水が冷たいときはぬるま湯を使うと洗剤が溶けやすくなります。

4.たらいに洗濯物を入れて洗う

洗剤が溶けたら洗濯物を洗います。特に目立った汚れがなければ基本的には押し洗いで十分です。汚れが目立つ部分はつまみ洗いで対応しましょう。
デリケートで型崩れしやすいブラウスやニット類などはつけおき洗い、または振り洗いで優しく洗います。

5.すすぐ

たらいの中に水を流し、新しいお水を入れて洗濯物をすすぎます。すすぐ回数は2回~3回が目安ですが、ヌルつきが気になるときは回数を増やしましょう。仕上げに柔軟剤を使うときは、すすぎの最後にたらいの水の中に入れます。
この後にまたすすいでしまうと柔軟剤の効果が弱まってしまうため、すすがないようにしてください。

6.脱水

洗濯物の水分を軽く切った後、バスタオルの上に広げて海苔巻きを作る要領で端からくるくる巻きます。そして、巻いたものを上から手で軽く押して洗濯物の水分をバスタオルに吸わせましょう。バスタオルを2枚用意できるようであれば、洗濯物を挟むようにして水分を取ることもできます。
この脱水方法で不十分だった場合は洗濯機で脱水だけするのも良いでしょう。

7.干す

型崩れしないように干します。Tシャツやブラウスなどの軽い素材であればそのままハンガーにかけて干しても構いませんが、ニット類は水分を含んだ重さで伸びてしまう可能性があるため、ハンガーを2個使って重さを分散させたり、平干しネットを使ったりして生地が伸びないように注意しましょう。

手洗い洗濯をする際の注意点

手洗い洗濯をする際の注意点
たくさんのメリットがある手洗い洗濯ですが、いくつか注意点があるので覚えておきましょう。

洗剤の入れ過ぎに注意

洗剤を入れ過ぎるとすすぎに時間がかかってしまいますし、予想以上に水を大量に使ってしまいます。水道代の節約を目的としている場合は特に注意が必要です。洗剤の使用量の目安は商品パッケージに説明があるので、この部分をしっかり確認してから使いましょう。

無理して手洗い洗濯しない

素材やデザインによっては手洗いが難しいものがあります。このような場合はクリーニングに出すか、手持ちの洗濯機の「手洗いコース」や「クリーニングコース」、「おしゃれ着コース」などの便利な機能を使って洗いましょう。その際は手洗い専用洗剤を使うことをオススメします。

浴室は滑りやすくなるのでご注意を!

浴室で手洗い洗濯をする際は、洗剤を溶かした水が流れて床が滑りやすくなっているため、転ばないように気をつけてください。
また、あとから浴室を使う人のためにも、洗濯が終わった後はシャワーで軽く床を流して滑らないようにしておきましょう。

まとめ

手洗い洗濯の方法や手順、注意点についてご紹介しました。手洗い洗濯は全自動洗濯機と比べると少々手間がかかりますが、その分、自分なりのこだわりを持って洗えますし、衣類に愛着が持てるようになります。
一人暮らしで洗濯物の量が少ない方や、万が一の事態に備えて手洗い洗濯の方法をおさらいしておきたい方はぜひ一度挑戦してみてはいかがでしょうか。