薬局やホームセンターで「精製水」という商品を見かけたことはないでしょうか?
精製水の中身はその名の通り「水」ですが、今、高品質な水の需要の高まりとともにこの精製水の活用にも注目が集まっています。

そこで今回は、精製水の特徴や使い方・使い道、使用の際の注意点について解説します。

一体どんな水?「精製水」の特徴とは

薬局の日陰の棚にひっそりと陳列されている精製水。パッケージも地味なものが多いため、「これって一体何に使うのだろう?」と疑問に思っていた方も多いのではないでしょうか?
結論からいうと、精製水とは「ろ過や蒸留などの方法でマグネシウムやカルシウム、塩素、微生物などの不純物を可能な限り取り除いた無色無臭の水」のことをいいます。

不純といってもマグネシウムやカルシウムなどのミネラルは健康維持や水の味をまろやかにする役割を果たしているため不要なものではなく、むしろ飲用水としては必要なものです。
したがって、精製水の用途は飲むこと以外にある、ということになります。

精製水の主な用途とメリットとは?

精製工程を経た「混じり気」のない清潔な水、精製水が作られているのは「水の中にある不純物が他の物質の邪魔にならないようにするため」です。
たとえば、実験で何らかの物質を水に溶かす際、水の中に余計なものが入っていると実験の結果に影響が出てしまうため、精製水のように不純物が除去された水が好ましいとされています。

また、身近なところではコンタクトレンズの保存液や洗浄液を作る際の精製水の活用もその一例。
コンタクトレンズの保存液や洗浄剤を作るときは専用の薬剤を水で溶かす必要がありますが、このときも不純物が除去された精製水を使えば薬剤本来の力が十分に発揮されますし、水道水のように塩素を含まないので目の角膜を傷つけることもありません。

このように、精製水は主役となるものをサポートする、いわば黒子のような役割が主な用途であり、何も含まないことが特徴でありメリットでもあるのです。

精製水は「きれいな水」だから飲める?

何も含まない、きれいな水。確かに精製水はそのような水ですが、飲料水として適しているかと聞かれれば答えは「NO」です。
前述の通り、水の味をまろやかにするミネラルが除去されているため飲みにくく、美味しくはありません。

また、塩素が入っていないため一度開封すると雑菌が繁殖しやすく、水の状態によっては飲むと体調を崩す可能性もあります。
万が一飲んだとしても少量であれば問題がない場合がほとんどですが、飲まないことに越したことはありません。

日常生活での精製水の使い方

日常生活での精製水の使い方
これまで精製水はさほど目立つアイテムではありませんでした。
しかし、最近は水にこだわる風潮が広まったこともあり、日常生活においても次のようなシーンで活用する方が増えています。

洗濯や掃除に

精製水は不純物が除去されている分、汚れを吸収しやすい性質があるため洗濯や掃除では大きな力を発揮します。また、水であることには変わらないので洗剤を使いたくない部分の掃除にもオススメです。
シミ抜きやガラス拭きの際はぜひ精製水を活用してみましょう。

スキンケアに

クレンジングクリームやマッサージクリームを精製水で濡らしたコットンでふき取れば、お肌に塩素を残さず、優しく汚れを落とせます。
また、グリセリンや尿素、アロマオイルなどを溶かせば保湿成分がしっかり効いた自家製の化粧水になりますし、フェイススチーマーに使用すればお肌に優しい蒸気でスペシャルケアができます。

スチームアイロンに

水道水でスチームアイロンを使っていると蒸気の噴出口周辺に白い粉のようなものが付着しますが、これは水道水に含まれる石灰やミネラルが熱によって結晶化した結果です。
精製水を使用すればこのようなことはなく、アイロンに付いた石灰をふき取る手間も省けます。

バッテリーの補充液として

車のバッテリー液が少なくなってきた際は、精製水を補充することで対応できます。
ただし、精製水の補充を繰り返すのは避けましょう。もともと、バッテリー液は硫酸を精製水で希釈したものですが、精製水を入れ過ぎると硫酸が薄まってバッテリー液の質が変わってしまいます。

コンタクトレンズの保存剤や洗浄剤の溶解剤として

精製水はコンタクトレンズの保存剤や洗浄剤を溶かすのに使用できます。
しかし、最近はこのような形式のケア用品が少なくなってきたため、精製水をレンズケアに利用する機会はさほどないかもしれません。
なお、精製水自体にレンズの汚れを落とす効果はないので、精製水でレンズを洗わないようにしましょう。

精製水を使用する際の注意点

地味でありながら意外にも「働き者」である精製水ですが、使用の際には次に挙げる注意点を守りましょう。特に衛生面では細心の注意を払ってください。

使用期限内に使い切る

精製水には使用期限があるので、この期限内に使い切るようにしましょう。具体的な期限はパッケージに記載されています。
また、開封後は冷蔵保存し、1週間~2週間以内に使い切るように心がけてください。

冷暗所で保管する

未開封であっても直射日光の当たらない冷暗所で保管する用にしましょう。精製水は不純物が除去されている分、雑菌が繁殖しやすいためです。

ボトルの口は常に清潔に保つ

ボトルの口は常に清潔に保つようにしましょう。この部分が汚れていると雑菌が繁殖しやすく、精製水の質自体を劣化させてしまいます。
このようなことが心配であれば、コック付きのパックやボトルに入った精製水を購入するのも得策です。

想定されている用途以外の使い方はしない

パッケージに「医療用」や「工業用」、または「化粧用」といった用途が記載されている場合、それ以外の使い方はしないでください。
購入の時点で特にこれといった使い道が決まっていない場合は用途の記載がない、多目的に使用できるものを選びましょう。

安易に自作の代用品を作らない

水の精製は自宅でそう簡単にできるものではありませんので、安易に自作の代用品を作るのはオススメできません。
特に体に使用する予定の場合は衛生面で注意が必要なため、市販の精製水を使う方が安心です。

まとめ

精製水の特徴や使い方、使用の際の注意点について解説しました。
一見すべて同じように見える水ですが、実はその水にも種類があり、性質も異なります。
それぞれの性質を把握して生活に活かせば、水は私たちにより大きな恩恵をもたらしてくれますので、この機会にぜひ、精製水を手に取ってみてはいかがでしょうか。