高温多湿の日本の夏は、なかなか過酷であることで有名です。最近は熱中症の危険性も叫ばれていることから、こまめに水分補給する習慣が根付きつつありますが、そんななか、「給水スポット」という場所が注目を集めているのをご存知でしょうか。

そこで今回は、今話題の給水スポットの意義や設置するメリット、探し方・利用方法についてご紹介します。

現在各地で増えつつある「給水スポット」とは?

「給水スポット」とは、給水機が設置されている場所や店舗のことをいいます。ほとんどのスポットでは水道水が無料で提供され、誰でも利用可能です。外遊びをしている子どもやジョギング中の方でも気軽に水分補給できる便利な場所として注目を集めています。

しかし、巷にはコンビニや自動販売機が溢れかえっており、「何か飲みたい」と思ったその数分後には店舗でペットボトル入りのドリンクを購入できる時代。それにもかかわらず今、このような給水スポットが増えている背景には、ペッボトルに関連する環境問題がありました。

水道水を飲んでエコ活動! 給水スポットが増えている理由

軽くて丈夫なペットボトルは、水やお茶を持ち運ぶアイテムとしては大変優秀ですが、ペットボトルの製造から飲料のボトリング、各店舗への輸送、使用後のリサイクル処理までの過程には多くのCO2が排出されています。

PETボトルリサイクル推進協議会が発表した報告書によれば、清涼飲料用PETボトルの出荷本数は1年間で約236億本(2019年度)。
この数字が出ていても3R推進活動(資源のリデュース・リユース・リサイクル)が功を奏してCO2の排出量はある程度抑えられていますが、油断的できない状況と言って良いでしょう。
これから出荷数・使用量が増えていけばリユース・リサイクルも追いつかなくなる可能性もあるのです。

給水スポットはこのような現状に対し、まずは「喉が渇けば買えばいい」といった消費行動を改めることから誕生しました。
主導しているのは環境問題に取り組むNGOや一般社団法人、一部の企業。
無料で利用できる飲料水の給水スポットが多く設置されるようになれば、ペットボトル入り飲料を購入するより、給水スポットでマイボトルに水を入れるようになることを見込んでスタートしたのです。

各団体の積極的な呼びかけと協賛する自治体や各種店舗の協力により給水スポットの認知度は広がり、積極的に活用する方も増えています。

給水スポットを設置するメリット

給水スポットは飲料用の水を衛生的な設備で提供できることが前提です。
したがって、定期的な管理が行き届く施設・店舗が理想的ですが、店舗・施設側には給水スポットを設置することでどのようなメリットがあるのでしょうか。

店舗・施設の宣伝・集客につながる

給水スポットとして認知されることで店舗の店名やサービス、商品を潜在顧客に知ってもらう機会になりますし、集客にもつながります。
最初は水を汲む目的で来店した方も、店内の商品を見て購買意欲を掻き立てられ、最終的には購入に至ることも十分にありえるでしょう。

店舗・施設のイメージアップにつながる

環境を意識した行動を心がけている方は意外に多く、ESG(環境・社会・ガバナンスを意識した取り組み)やSDGs(持続可能な開発目標)をポリシーとする店舗・施設であればそうした方へのイメージアップにつながりますし、それが結果的に宣伝・集客・販促効果となって現れることもあります。

給水スポットの探し方・利用方法

給水スポットの探し方・利用方法
誰でも無料で飲料水が汲める給水スポット。職場や学校の近くにあればぜひ活用したいものですが、気になるのは給水スポットの探し方や利用方法です。

給水スポットの探し方

一番簡単な給水スポットの探し方はアプリを使って探す方法です。「mymizu」というアプリを活用すれば、お近くの給水スポットをマップで簡単に探せるのでおすすめです。
また、ペットボトル削減を目指すNPO法人、水Do!ネットワークが運営する「Refill Japan(リフィルジャパン)」のサイト内でもお近くの給水スポットを探せるマップが表示されます。

給水スポットの多いエリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、京都府、大阪府ですが、今後は益々の拡大が見込まれるでしょう。
給水スポットのあるカフェでランチをいただいた後は水をボトリングして帰る-。そんな光景が頻繁に見られる日もそれほど遠くないかもしれません。

給水スポットの利用方法

ほとんどの給水スポットではボタンを押したり、レバーを上げ下げしたりするだけで水が出ます。子どもでも簡単にボトリングできるので改めて利用方法を覚える必要はほとんどありませんが、ボトルは洗浄済みの給水用を使用することをおすすめします。
また、ボトルの飲み口が給水部分に当たらないよう気をつけましょう。給水スポットでは「清潔なボトル」でボトリングするのが基本です。

まとめ

今話題の給水スポットの意義や設置するメリット、探し方・利用方法についてご紹介しました。
現在目の前にある問題の多くは日々の積み重ねにより生じたものです。環境問題はその一つであり、私たちの毎日の行動で地球の将来が決まります。
「喉が渇いたから何か飲もうかな」と思った先の行動でより良い環境が維持できるのではれば、地球に優しい方を選択したいもの。

CO2問題に興味がある、またはこれから何か行動したいと考えている方は、お出かけする際にマイボトルを持参し、給水スポットを積極的に活用してみてはいかがでしょうか。