安心・安全な水道水を提供するために、欠かせないカルキ。
このカルキについては普段から耳にする機会がそれなりにあるものの、具体的にどういったものなのか、わからない方が多いのではないでしょうか?

そこで今回は、カルキの特徴や使用する目的、カルキがもたらす問題点、その解決法についてご紹介します。

水道水に含まれる「カルキ」とは?

水道水に含まれる「カルキ」とは、水の消毒・殺菌のための塩素のことをいいます。各家庭に安心・安全な水道水を届けるため、塩素(カルキ)は欠かせない物質なのです。
水道水の質を安定させるために塩素の濃度は「各家庭の蛇口で0.1ppm以上の濃度を保っていること」と、水道法で定められています。
0.1ppmというのは、「1リットルあたり1ミリグラムの塩素が含まれている」という意味です。
たとえ浄水場から自宅までの距離が離れていても、この基準をクリアしていなければなりません。

塩素はれっきとした化学物質なので少々抵抗感を持ってしまう方も多いかもしれませんが、水道水に含まれる塩素は基本的に体に害を及ぼすものではありません。
しかし、自治体によっては、残留塩素(消毒の役割を終えた後の有効塩素)について独自の取り組みを行っているところも。
たとえば、東京都水道局では残留塩素濃度が必要最低限の0.1ppm以上0.4ppm以下になるよう、努力しています。

髪や皮膚にダメージも!? 残留塩素が引き起こすトラブル

水道水に含まれる塩素の量は決して多くはありません。
しかし状況によっては、日常生活の中で次のようなトラブルが発生する場合があります。

水道水の味が変わる

水道水の塩素トラブルでもっとも多くみられるのが「味」や「臭い」に関するものです。残留塩素の量が多ければ多いほど、独特の味や臭いが気になりやすくなります。
なお、塩素による影響は、浄水場からの距離によっても違いがあり、浄水場から近ければ近いほど残留塩素の量が多く、臭いや味が気になりがちです。

髪や皮膚へのダメージ

殺菌性のある塩素は、人間の髪や皮膚に少しばかりダメージを与えてしまうことがあります。
繰り返しますが、水道水に含まれる塩素の量は決して多くはありません。実際、「水道水のシャワーを浴びてもなんともない」という方がほとんどでしょう。
しかし、敏感肌やアトピー肌でお悩みの場合、わずかな刺激が不快症状につながってしまうこともあるため、注意が必要です。
「肌がピリピリする」「肌荒れする」「髪がパサつく」といったトラブルがあれば、塩素による影響を疑ってみましょう。本来皮膚が持っている保湿機能やバリア機能が低下してしまう可能性があるからです。
「肌に優しいタイプの洗浄剤を使っても、皮膚への刺激がおさまらない」という場合には、塩素の除去を検討してみてください。

水中生物への影響

自宅で熱帯魚やカメを飼育している場合、お世話に水は必要不可欠です。
しかし水道水をそのまま使うと、残留塩素によって生体にダメージを与えてしまう可能性があります。
水道水に含まれる塩素の量は人間にとって害のない範囲に設定されていますが、小さな生き物にとってはまた別の話です。
また、塩素によって水中のバクテリアが死滅すれば、水槽内の生態系のバランスを崩してしまうでしょう。

塩素トラブルを予防するための3つの方法

塩素トラブルを予防するための3つの方法
塩素による恩恵をしっかりと受けつつ、余計なトラブルを回避するためには、各家庭で塩素を除去するのがおすすめです。
除去には浄水器を使用する方法が一般的ですが、「わざわざ導入するのはハードルが高い」と思う方もいらっしゃるでしょう。
そこで、浄水器以外でできる塩素除去方法を3つ紹介します。

ビタミンCを加える

水道水に含まれる塩素を中和するのに役立つのがビタミンCです。
水中で塩素が還元され、無害化できます。水道水を飲むなら、コップに汲んでレモン汁を数滴落とすと良いでしょう。
爽やかな風味が広がって飲みやすくなるというメリットもあります。ビタミンCを粉末にした除去剤も便利なので、ぜひ活用してみてください。

煮沸する

水道水に含まれる塩素は煮沸で抜けます。やかんや鍋いっぱいに水道水を入れたら5分〜10分、しっかりと沸騰させましょう。
少し手間はかかりますが、水の味を変化させることなく、塩素除去できる方法です。

放置する

水中生物のお世話に水が必要な場合、水道水を汲み置きするのがおすすめです。バケツに汲んだ水道水を、太陽に当たる場所に放置しましょう。
6時間~2日ほど置けば塩素を除去できます。
少し時間がかかるので、お世話するタイミングを見越して計画的に塩素除去するのがおすすめです。

浄水シャワーヘッドを利用する

浴室では塩素を除去してくれる浄水シャワーヘッドを利用してみましょう。塩素でお肌や髪にダメージを与えることなくお湯を使えます。
価格は2000円〜5000円程度、簡単に交換できるものがほとんどです。

なお、塩素を除去した水は腐りやすい状態になっています。そのため、塩素除去した水を数日間保管し、その後家族で飲むのは危険です。
塩素除去した水道水は、できるだけ早く使い切るようにしてください。
水道水に塩素が含まれていることによるメリット・デメリットを正しく把握することが大切です。

まとめ

水道水に含まれる塩素(カルキ)は水の衛生面で重要な役割を果たしてくれています。しかし人によっては、そのデメリットを強く認識してしまう場合もあるでしょう。
そのため、「水道水には塩素が含まれている」という事実を頭に入れたうえで、塩素にどう対応していくか考えながら水道水を利用するのが賢明です。