世界各国には、「水」をテーマにしたお祭りが多く受け継がれています。カンボジアで毎年開催されている「水祭り」も、そうしたイベントの一つといえるでしょう。
カンボジアの水祭りは、具体的にどのようなお祭りなのかご存知でしょうか?

カンボジアの「水祭り」とは?

カンボジアの水祭りは、毎年11月の初め頃に行われています。
水祭りは、約半年間も続いた雨季がようやく明けることを祝うためのイベント。このため、雨季明けの11月に合わせて行われています。

古くから「水の王国」とも呼ばれてきたカンボジア。その国土の多くが、メコン川流域にあります。
雨季に降る雨の恵みは非常に大きなものである一方、洪水被害に見舞われる年も少なくありません。
水祭りには、そうした時期を乗り越えられたことを祝う意味も込められているのでしょう。

カンボジア国民にとって、水祭りは非常に大切な年中行事の一つです。
11月を迎え、最初の満月の前後3日間をかけて、大々的にイベントが行われます。
祭りの期間中、カンボジア国内は祝日でお休みに。
首都プノンペンでは、川沿いに多くの出店が立ち並び、地元の人々と多くの観光客でにぎわっています。

水祭りの見どころは?

カンボジアの水祭りでは、3日間にわたって数多くのイベントが開催されます。
ライブや花火、ボートレース大会など…祭りを訪れた人たちは、思い思いに楽しんでいます。

こうしたイベントの中でも、特に高く注目されるのがボートレース大会です。色とりどりのボートが、メコン川とトンレサップ川に浮かび、順位を競います。
日本でボートレースと言えば、エンジンを積んだボートが猛スピードで疾走するレースを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?
カンボジアの水祭りで行われるレースは、すべて手漕ぎボートで行われるもの。
伝統工法を用いて作られたシンプルなボートには、カラフルな衣装に身を包んだ大勢の人が乗り込みます。
全員揃って、パワフルにボートを漕ぐシーンは圧巻です。
ちなみに、祭りの当日にレースに出場できるのは、各地域の予選を勝ち上がってきたチームのみ。
実力派チーム同士が熱いバトルを繰り広げ、観客たちを沸かせてくれるでしょう。

カンボジアの水祭りは1,000年以上続く歴史的なイベントであり、有名な寺院にはボートレースの様子が描かれています。
現代においても、カンボジア国王や首相も招いて行われる、非常に大規模なイベントといえるでしょう。

ちなみに、水祭りのメインイベントともいえるボートレースですが、天候や水量、各種社会情勢などが原因で開催されない年もあります。
現地を訪れ、迫力満点のボートレースを目撃できたら、とてもラッキーですね。

カンボジアの水祭りは夜も美しい

昼はボートレースで熱狂に包まれる水祭り。日が落ちて夜を迎えたあとも、まだまだ熱気はおさまりません。
華やかなレース用のボートにかわって登場するのは、電飾で彩られた美しいボートです。

水祭りを開催する目的の一つは、満月に敬意を示し、豊かな大河の恵みに感謝すること。
色とりどりの電飾で彩られたボートは、ゆったりと川を上ったり下りたりして、多くの人の目を楽しませてくれるでしょう。
バックには伝統的な音楽が流れ、祭りならではの雰囲気を盛り上げてくれます。
最後には盛大に花火が上がり、参加者の気持ちを一つにしてくれます。

昼間の熱狂とは一味違う厳かな儀式にも、ぜひ注目してみてくださいね。

実際に水祭りに行ってみたい! 注意点は?

カンボジアを訪れるなら、一度は目にしたい水祭り。観光客向けのツアーも人気ですから、利用するのがオススメです。誰でも手軽に現地のお祭りの雰囲気を楽しめるでしょう。

水祭りの時期のカンボジアは、乾季の中でも比較的涼しい時期に当てはまります。
とはいえ、日中の気温は30度前後まで上昇しますし、夜になってもあまり下降しません。
風通しがよく、着心地の良い衣類を選択すると良いでしょう。

また、水祭りの期間中は、首都プノンペンの一部にて交通規制が実施されます。
車はもちろん、現地で重要な足となるバイクの進入も不可能になるため、移動には十分注意しましょう。

カンボジアで行われている「水かけ祭り」とは?

カンボジアで水に関するお祭りと言えば、水祭りのほかに「水かけ祭り」と呼ばれるものがあります。よく似た名前ですが、全くの別物。
こちらは、クメール正月にあたる4月に行われる行事です。

お正月と言えば、一年を終え、新たな年を迎える時期。農民にとっては祝日であり、体を休める時期でもあります。
旧年中の汚れを落とし、新たな年が祝福でいっぱいになるよう、誰彼構わず水を掛け合うのが水かけ祭りの伝統です。

日本で4月といえばまだまだ肌寒さも残る時期ですが、カンボジアでは乾季の中でも暑季にあたります。
雨季を迎える前の、一年でもっとも暑い時期に行われる年中行事の一つです。

水祭りではなく、水かけ祭りの方に出かける際には、水をかけられびしょ濡れになっても大丈夫なよう入念に準備を整えておきましょう。

祭りを通じて水の恵みに感謝を捧げよう

祭りを通じて水の恵みに感謝を捧げよう
大きな川の流域に国土が広がるカンボジア。水がもたらす恵みは非常に大きく、人々の暮らしを根底から支えてくれているのでしょう。
だからこそ、水にまつわるイベント「水祭り」も大々的に行われています。カンボジアを訪れた際には、ぜひこちらのお祭りにも注目してみてくださいね。