私たちは常日頃から、スイッチを入れるだけで当たり前のように動いてくれる電化製品に囲まれ、蛇口をひねれば当然のように水やお湯が出てくる便利な生活を送っています。

しかし、自然の驚異や災害によってある日突然ガスや電気、水道などのライフラインが絶たれてしまう危険が、常に潜んでいることを忘れてはいけません。
みなさんのご家庭では、非常時の備えは万全でしょうか?

今回は水を中心に、ライフラインの確保の大切さをご紹介いたします。

最大95日も?! ライフラインの復旧にかかった日数

一度断たれてしまったライフラインが、復旧までどの程度の日数が必要なのかご存知でしょうか?

2011年に起こった東日本大震災のケースを参考に確認していきましょう。
東日本大震災時、電力が復旧するのに要した日数は東京電力の管轄内では9日、東北電力の管轄内では95日にも及び、被害を受けた世帯は、およそ850万世帯にものぼりました。
一方、都市ガスは55日で復旧、被害世帯はおよそ45万世帯でした。

生きていく上で最も大切な水を各家庭に運ぶ水道については、被害を受けた世帯数はおよそ190万世帯、完全復旧には90日も要することになりました。

これらのデータからもわかるように、震災時には長期にわたってライフラインが断たれ、多くの方々が大変な思いを強いられました。
非常時のライフラインの確保は、現在も大きな課題となっています。

生活用水の備蓄は難しい?

では実際、大切なライフラインの一つである「水」は、どれくらいの量を確保しておけばよいのでしょうか。

大人の場合、普段の生活の中で1日に2リットル〜2.5リットルの水分を飲み物や食べ物から摂取しているといわれています。
そのためライフラインの確保が重要視される今、数日分の飲料水を備蓄する取り組みを行っている企業や家庭が増えつつあります。

一方、飲料水を除く生活用水の確保は後手にまわっている状況です。
普段の生活で使われている生活用水の量は、1日当たり1人平均300リットルといわれています。
そのうち最も水の使用量が多いのがトイレで、次いでお風呂となっています。
また、必要最低限の衛生状態を保つために手洗い、歯磨き、洗濯や洗い物などに使用する水も必要となります。

しかし、300リットルもの膨大な生活用水を普段から人数分備蓄するのは難しいのが現状です。

大切な生活用水を確保するためには

それでは、生活用水に対する不安を少しでも解消するためにどんな取り組みが行われているのでしょうか。

近年では生活用水を確保するために、非常時に備えて地域で使うことのできる「地域井戸(災害時協力井戸)」を設置する自治体が増えるなど、非常時の水に対する不安を少しでも軽減できるような取り組みが積極的に行われています。
(井戸ポンプ情報局でも、過去の記事「井戸は災害に強い! 防災井戸で地震・災害に備えよう」で取り上げていますのでご覧ください。)

また、ライフライン復旧の目処が立たず、どうしても水が必要になった場合などは、川の水を飲み水にするという方法もあります。万一に備えて覚えておくと役立つ時がくるかもしれません。
(井戸ポンプ情報局でも、過去の記事「災害時・非常時用に覚えておきたい! 川の水を飲み水にする3つの方法」で取り上げていますのでご覧ください。)

いざという時のためにも、災害時に水をどう確保すべきかを平常時にしっかりと考えておきたいものですね。

まとめ


非常時の水をはじめとするライフラインの確保の大切さについてご紹介いたしました。

災害でライフラインが断たれてしまった場合などの状況を想定して、地域井戸(災害時協力井戸)の設置がお住まいの地域の自治体で取り組まれているか確認することも重要ですが、家族や地域の人々と普段からよく話して合っておくことも大切な備えとなります。

これを機に、災害時のライフラインの確保の仕方などを改めて家族と話し合い、共有してみてはいかがでしょうか?