防災井戸は、災害時に重要なライフラインのひとつとして近年注目が集まっています。
そこで今回は、防災井戸の設置や活用に向けて、自治体や民間では現在どんな取り組みが行なわれているのか調べてみました。

防災井戸の設置・増加への取り組み

今からおよそ100年前の1923年に起こった関東大震災では、大半の家庭に井戸があったため水不足にはならなかったといわれています。

一方、現在は水道設備の普及によって井戸がある家庭は当時に比べると激減しており、災害時には水不足に悩まされる被害も出ています。
そのため近年では、災害時に被災地で井戸水の活用が報道される機会も多くあったことにより、防災井戸の設置と増加を急務と捉えて積極的な取り組みが各地域で進められています。

主な対応としては、病院やマンションなど人が多く集まりやすい建物や施設内に新規で防災井戸を設置し、災害時に井戸水が使えるよう日頃から整備が行なわれています。
さらに、防災力が高く評価されている自治体では、災害時の避難場所へ防災井戸の設置が積極的に行なわれているようです。

また、井戸の新規設置のための補助金制度を設けているところもあるなど、充実した制度の有無が井戸設置の決め手になることが多くみられます。

防災井戸にはどんな活用方法がある?

それでは、積極的に設置されることが多くなった防災井戸は災害時にどんな活用方法が想定されているのでしょうか?

まず、井戸水を飲料水として活用しようと考えている場合は、さまざまな水質検査の条件をクリアすることが必須になります。そのため、残念ながら飲料水としての活用はできない井戸もあります。
そうした井戸は、主にトイレやお風呂などのいわゆる生活用水としての活用が想定されています。さらに、災害時に発生してしまうことのある火災の消火用水としての活用も想定しているようです。

そして、汲み上げられた井戸水を一時保管するためのタンクなどを用意して、そこに水をストックしておけばスムーズに多くの方に利用してもらうことが可能になりますので、災害時の混乱を防ぐ効果も期待できます。
また、災害時に防災井戸を活用するためにはポンプを稼働させる必要がありますが、「タンデム式手押しポンプ」であれば電動でも手押しでも使うことが可能ですので、急な停電時も安心して使用できます。

まとめ

まとめ
自治体や民間で行なわれている防災井戸に関わるさまざまな取り組みについてご紹介しました。防災井戸は災害時のライフラインとして重要ですが、数量的にはまだまだ不足している状況のようです。
今後、防災井戸をさらに増やしていくためには井戸の新たな設置だけでなく、しばらく使われていない井戸のメンテナンスなども積極的に行なっていく必要があります。

自治体・民間によるこうした地道な努力が災害時には大きな力となりますので、これから井戸の設置やメンテナンスを検討している方は、まずは自治体やプロの業者に問い合わせてみましょう。