電気代の安い夜間にお湯を作る「エコキュート」を光熱費削減の手段として導入する家庭が増えてきています。
そして、自宅に井戸がある場合は、エコキュートと井戸水を併用して光熱費と水道代を大幅にカットできる可能性についても考えてみたくなるのではないでしょうか?

そこで今回は、エコキュートと井戸水の併用を検討している方のために、事前に知っておきたい注意点についてご紹介します。

井戸水とエコキュートの併用がおすすめされない理由とは?

「井戸ポンプとエコキュートを併用すれば光熱費も水道代も節約できる!」と、夜間の安い電力と実質無料で手に入る天然資源・井戸水を併用すれば大幅なコストカットになると思われがちですが、残念ながら井戸水とエコキュートの併用は難しい場合があります。

井戸水に含まれる成分がエコキュート故障の原因に

井戸水にはカルシウムをはじめとする水道水にはない成分が含まれているため、エコキュート内部にその成分が蓄積すると故障の原因になってしまう恐れがあります。人体にとってはなんら害のない成分であっても、エコキュートが長く安定して稼働し続けるのには適さないというわけです。
もちろん、井戸水によって含まれる成分は変わってきます。成分によっては水道水と同様に問題なく使用できるケースもあるでしょう。
とはいえ、エコキュートにとって、井戸水使用のリスクは決して小さくありません。このため、エコキュートの取扱説明書には「井戸水は使用不可」と明記されていることが多いのが現状なのです。

故障した場合は保証の対象外に

万が一、エコキュートの取扱説明書の注意書きを無視して井戸水を使用した場合は、耐用年数よりもはるか前に故障してしまう可能性がありますし、メーカー側の保証対象にもならない恐れがあります。エコキュート本体の価格相場は20万円~60万円ほどであり、決して安い製品ではありません。したがって、通常のエコキュートで無理に井戸水を使用するのはおすすめできません。

井戸水を使用するなら「井戸水対応型エコキュート」を! 申し込む際の注意点

井戸水使用を希望するなら「井戸水対応型エコキュート」を! 申し込む際の注意点

「エコキュートに井戸水の使用は適さない」というのが基本ではありますが、まったく策がないわけではありません。実はエコキュートには「井戸水対応型」のものがあり、これを設置すれば井戸水でも問題なく使用できるのです。
ただし、誰でも自由に購入・設置できるわけではなく、メーカー独自の水質検査を受け、「エコキュートの使用に適している」と認められなければなりません。エコキュートと井戸水を併用する場合は、通常のエコキュートを導入する場合と比べて、申し込みに関する手順が増えることを覚えておきましょう。

井戸水対応型エコキュートを設置すれば、井戸水でも問題なくコストをカットしながらお湯を使えるようになりますが、申し込む際は次のような注意点を留意しておく必要があります。

エコキュートの申し込みは水質検査の前に行う(ご自宅に井戸がある場合)

ご自宅に井戸がある場合は、水質検査の前にエコキュートの申し込みをしましょう。前述の通り、水質検査はメーカーが指定する方法で行う必要があるからです。また、水質検査のための費用は購入者側が負担するケースが一般的です。この調査で「エコキュートの使用に問題なし」と判断されれば、購入・設置が可能となります。

すべての井戸水に対応できるわけではない

井戸水対応型エコキュートの利用を前提として、これから井戸を設置する場合は「井戸水対応型エコキュートであっても、すべての井戸水に対応できるわけではない」という点を理解しておく必要があります。
また、井戸水対応型エコキュートを設置するためには、メーカー側の水質検査をクリアする必要がありますが、水質検査を受けられるのは井戸を設置してからとなります。つまり、せっかく井戸を設置しても検査の結果によってはエコキュートの設置が難しい場合があるということです。

井戸水対応型エコキュートは初期費用が高額

エコキュートと井戸水を併用できれば家庭内のランニングコスト削減効果は非常に高いのですが、水道水を使う場合と比較して初期費用は高額になりがちです。初期費用とランニングコストについてしっかりと比較検討し、状況に応じてベストな選択をしましょう。

井戸水対応型でもリスクがゼロではない

井戸水対応型エコキュートを設置したとしても、井戸水の成分による詰まりが生じるなどのリスクはゼロではありません。水熱交換器のスケール詰まりなどのトラブル対しては3年程度の保証(メーカー保証)がセットになっていることが多いので、何かあればメーカー側に対応を依頼しましょう。

メリットとデメリットをしっかり理解することが大切

エコキュートと井戸水の併用を検討している方のために、事前に知っておきたい注意点についてご紹介しました。
井戸水対応型エコキュートの種類は近年少しずつ増えてきていますが、一般向けのエコキュートと比較すると種類は少なく、また価格も高めに設定されているケースがほとんどです。
エコキュートと井戸水の併用によるコストカットは大変魅力的ですが、デメリットについてもしっかり理解した上で導入を検討しましょう。