井戸から水を汲み上げる井戸ポンプは、井戸の利用に欠かせない設備です。特に電動井戸ポンプは蛇口をひねるだけで簡単に井戸水を利用できるため、手押しタイプから交換するご家庭も増えていますが、電動であるがゆえに注意しなければならない点もあります。

そこで今回は、電動井戸ポンプの災害時のデメリットや、電動井戸ポンプとセットで準備しておきたい家庭用発電機について解説します。

電動井戸ポンプの災害時のデメリット

近年、井戸が災害発生を機に見直されるようになりました。災害が発生した際、水道の配管に破損や亀裂が生じれば、蛇口をひねっても水が出なくなってしまいます。
実際、過去の地震発生時には、長期化する断水に困惑する方々の姿が繰り返し報道されていました。
このようなとき、井戸なら地下の水を汲み上げる仕組みなのでポンプが故障したり、地下水の推移が急激に下がっていたりしない限り断水の心配はありません。そのため、「災害発生時には生活用水として活用できる」という井戸のメリットが知られることとなったのです。

ところが、その井戸にもデメリットがありました。それは停電による電動井戸ポンプの稼働停止です。

「万が一」に備えて家庭用発電機を準備しておくと便利

電動井戸ポンプは電気で稼働するため、災害で断水だけではなく停電も発生した場合、電動井戸ポンプで汲み上げる井戸は使えなくなってしまうのです。
現在、一般住宅に導入されている井戸ポンプは電動式が多く、停電対策をしなければ災害時はせっかくの井戸も役に立ちません。

したがって、電動井戸ポンプを最大限に活用するためには電力会社から送電される電気だけに頼らず、万が一の場合に備えて家庭用発電機を準備しておくことが大切なのです。

家庭用発電機とは?

家庭用発電機とは
家庭用発電機とは、ガスやガソリンを燃料にして発電体を回転させて発電する機器のことをいいます。
身近な燃料で発電できるうえ、持ち運びが容易な小型であるため、イベントや工事現場など、さまざまな場面で利用されています。

災害時においても、この家庭用発電機があれば電動井戸ポンプを稼働させられますし、他の家電も使えるようになるので一台あると何かと便利です。
ただし、家庭用発電機ならどれでも大丈夫というわけではありませんので、購入する際は次のポイントを確認しておきましょう。

発電量

家庭用発電機で発電できる量が少ないと、井戸ポンプをしっかり稼働させられません。
十分な発電量があるかどうかを確かめるためには、井戸ポンプの定格消費電力をチェックしましょう。電動井戸ポンプの定格消費電力の4倍以上のパワーがある家庭用発電機が理想です。

周波数

電動井戸ポンプの周波数に合った家庭用発電機を使う必要があります。
不適切な周波数の家庭用発電機を使うとポンプが故障したり、正常に稼働しなかったりすることも。

なお、家庭用発電機にもいくつか種類がありますが、良質な電力を安定的に供給できるインバーター式のものがおすすめです。
価格はメーカーや機能によっても異なりますが、10万円~25万円程度で購入できる商品が多いようです。

家庭用発電機を使用する際の注意点

家庭用発電機はエネルギーを発生させる機器なので、使い方によっては危険な状況を招いてしまうことがあります。
発電機の使い方は商品によって異なりますが、どのような製品であっても実際使用する際は次の点に気をつけましょう。

火気のない屋外で使用する

家庭用発電機は火気のない屋外で使用しましょう。燃料入れの際にガソリンなどがこぼれた場合はすぐに拭き取ってください。

家庭用発電機の周辺に物を置かない

家庭用発電機は使用すると熱くなるため、使用中は発電機の周りに物を置かないようにしましょう。可燃性のものはもってのほかです。

排気ガスが屋内に入らないようにする

家庭用発電機から排出される排気ガスには一酸化炭素が多く含まれており、大量の排気ガスが屋内に流れると一酸化中毒を引き起こす恐れがあります。
使用する際は人がいる部屋に排気ガスが流れないよう、細心の注意を払ってください。

使用後は日陰の屋内にしまう

家庭用発電機を使用した後は内部の劣化防止のために燃料を抜き、直射日光の当たらない日陰の屋内にしまいましょう。
雨や雪、風にさらされると故障することがあるため、雨漏りするような倉庫はNGです。

家庭用発電機以外の対処法は?

「災害対策として家庭用発電機を購入したいけれど少々ハードルが高い」と思う方は、近年人気が高まっている家庭用蓄電池を購入する手もあります。
単体でも使用できますが、太陽光パネルで生み出した電力をためておけば、いつでも好きなタイミングで使用できます。

また、家庭用蓄電池は高価ですので、多少手間がかかっても構わない場合は手押しポンプのままにしておくのも得策でしょう。

まとめ

電動井戸ポンプの災害時のデメリットや、電動井戸ポンプとセットで準備しておきたい家庭用発電機について解説しました。
最近はすべてを電気で稼働させる「オール電化」が流行っていますが、電気がなくなれば稼働が難しくなるという大きなデメリットを抱えています。
災害が発生した際に、「こんなはずじゃなかった」なんてことにならないよう、電動式の設備を使っている場合は、万が一のときのための対策をしっかり考えておきましょう。