みなさんは鯉といえばどんなイメージをお持ちですか?
だいたいの方は公園などの公共の池や、山奥など自然の中で泳いでいる姿、あるいは庭園の池で飼われている姿などを想像されるかと思います。

今でこそ池の中を悠々と泳いでいる鯉を想像する方の方が多いと思いますが、昔は井戸の中で鯉を飼っていた事もあるそうです。しかも、井戸で鯉を飼うのには明確な理由があったとか。

今回は、水道がない時代の「井戸と鯉」についてご紹介いたします。

井戸水の水質調査に鯉を使用?!

水は人々の生活、ひいては生きていく上で無くてはならないものです。
現代では水道の蛇口をひねれば簡単に水を得ることができますが、まだ水道のない時代は生活用水を手に入れるために、地域に設置されている共同所有の井戸を利用していました。
もちろん、井戸の水質が悪くなればその地域一帯に支障が出てしまうため、人々は井戸をとても大切に使用していました。
こうして住人の生活を支える井戸は神聖化し、信仰の対象とされていました。

当時は現代のように、しっかり水質を検査する技術はありませんでした。
そこで昔の人は井戸に鯉を放ち、鯉が棲める井戸の水は清く、人間が使用しても安全な水だと判断していたのです。
そのため鯉を井戸の守り神として崇めている地域も多く、井戸の鯉はとってはいけないとされていました。

しかし、現代では鯉は水質汚染にも耐えられる丈夫な魚であることが判明しているため、鯉が住める水だからといって安全な水とはいえません。
井戸水を生活用水にする際はプロに相談し、しっかり水質調査することをおすすめします。

鯉のために井戸の設置を検討するケースも?


昔から人々の生活に寄り添ってきた鯉ですが、現在では個人宅や施設の池などで飼育され、美しい見た目や愛らしい姿で人々を楽しませてくれています。
特に庭園の池に住んでいるきらびやかな錦鯉(ニシキゴイ)は、日本の美しい文化の象徴にもなっており、日本庭園の風景の一部として外国人観光客から大変人気があります。

中には、池で飼っている鯉のために新しく井戸を設置しようと考えている方もいらっしゃいます。
塩素が入った水道水よりも地下から汲み取った自然な水を使うことで、鯉にとってより快適な過ごしやすい環境を用意してあげたいという気持ちから、井戸を設置しようと考えているようです。

さらに井戸を設置すれば、庭の手入れや家庭菜園などにも自然の水が使えますし、水量や水質によっては生活用水への利用や、災害など緊急時の備えとしても利用することもできます。

井戸からくみ上げた自然に近い水は池の鯉のみならず、私たちの生活にも良い潤いを与えてくれそうですね。
日々の生活にも、有事の際に実用的な使い方もできる井戸の需要は、今後ますます高まりそうですね。