井戸は古来より「命の水の源」や「御神水」ともいわれ、人々の暮らしと密接に結びついていました。
井戸にまつわる話にも昔からさまざまなものがあり、神秘的なものが多いことから現在ではパワースポットとして人気を集めているところもあります。

そこで今回は、井戸にまつわる神話や御神水についてご紹介します。

神社で見かける「御神水」とは?

神社にある湧き水や井戸水に「御神水」と書いてあることがあります。
御神水というのは、神様のパワーが宿った特別な水のことです。御神水を飲んだり手を洗うことで、心身が清められるほか、不思議なパワーを得られると考えられています。そのため、神社によっては御神水をペットボトルに入れて持ち帰ることができたり、購入することができるところもあります。

そして、そうした神様の特別なパワーが水に宿るという考え方のベースには、日本古来より伝わる神話の世界があるのです。

特別なパワーが宿る水?! 井戸にまつわる神話

ここでは、全国各地で日本古来より伝わる井戸にまつわる神話をいくつか見てみましょう。

丹生川上神社の「丹生の真名井」

奈良県東吉野村の丹生川上神社は、全国の水神を祀る神社のトップのようなところで、万葉集にも詠われた水のパワースポットです。
古くは朝廷から高い信頼を寄せられていて、雨乞いや長雨を止めるための祈りを行なっていました。
神社には罔象女神(ミツハノメノカミ)という神様が祀られており、「丹生の真名井」という井戸に湧き出る御神水は水神の力と恩恵を得ているといわれています。

出雲大社の神事に使う「真名井の清水」

島根県出雲市にある出雲大社から歩いて10分ほどのところに「真名井の清水」という湧き水が出る井戸があります。
「真名井の清水」は神事に使われる由緒ある水として知られており、島根の名水百選にも選ばれています。
さらに出雲大社では、毎年11月23日に執り行われる古伝新嘗祭という神事があり、そのなかの「歯固めの神事」(小石を噛んで行なう神事)で使用する小石はこの井戸のものが使われることになっています。

田所明神社の「田所名水」

広島県府中町の田所明神社には、「飽速玉命」という神様のほか六柱の神が祀られています。
閑静な住宅街のなかに建つ本殿の脇にある「田所名水」は、神聖な水として神様への供物となっています。田所明神社を訪れた際は、社務所で御神水をいただくことができます。

櫛田神社の「霊泉鶴の井戸」

福岡県福岡市の櫛田神社では、博多祇園山笠という伝統ある祭りが行なわれ、博多の鎮守様として親しまれており、境内には不老長寿の御神水が湧き出るといわれている「霊泉鶴の井戸」があります。
御神水を飲むときには、一口目は自分の不老長寿、二口目は家族の、三口目は親戚関係の人たちの不老長寿を願って飲むのだそうです。

お住いの地域の神社にも不思議な言い伝えがあるかも?!

井戸にまつわる神話
井戸にまつわる神話や御神水についてご紹介しました。井戸や御神水は神社によってさまざまな神話があることがお分かりいただけたことと思います。

今回ご紹介したスポット以外にも、御神水や井戸にまつわる神話は全国各地で言い伝えられていますので、お住いの地域の神社や井戸、御神水を調べてみると意外な発見があるかもしれません。
また、神社をお参りするときは、御神水がいただけるか神主さんに聞いてみるとよいでしょう。パワースポットの特別な水が手に入るかもしれませんよ。