「水素水」は様々な健康効果があるとされ、日常生活でも手にしやすいことから一時期ブームになり、大きく話題になりました。
では、一体どのような理由や背景から効果が期待されているのでしょうか?

今回は水素水について、期待される効果や性質、研究状況などについて解説していきます。

そもそも水素水とはどんな水?

水素水とは、水に溶け込んだ水素ガスを含む水のことで、水素分子が豊富に含まれており、多くの健康問題に利益をもたらすことが期待されています。
その理由は、水素は非常に小さな分子であることから体内の細胞に容易に浸透し、活性酸素などの有害な物質を無害化する「抗酸化作用」があるといわれているためです。

水素水の概念は比較的新しいもので、特に2007年頃から水素の抗酸化作用に関する研究が進み、水素水のブームに火をつけました。
日本を中心に水素水の健康効果に関する研究が盛んになり、市場に多くの水素水製品が登場したのです。

水素水を飲む方法は主に3種類

市販で流通している水素水は、水素を注入した缶やパウチ、ペットボトルの製品で、通常の水よりも高価なものの、手軽に水素水を摂取できます。
水素の濃度、味、パッケージのデザインなど、各商品には独自の特徴があります。

そして水に電気を流すことで水素ガスを生成し、それを水に溶け込ませる「水素水生成器」は、携帯用から家庭用の大型装置まで幅広い種類があり、水の量や生成する水素の濃度を調整できます。
また、水素水を生成できるウォーターサーバーも存在します。大容量の水タンクと水素生成ユニットを備えており、常に新鮮な水素水が飲めるため、多くの人が利用する環境や場所に適しています。

水素水と他の水との違いは?

水素水と通常の水(水道水やミネラルウォーターなど)との主な違いは、水素分子の含有です。
水素水に溶け込んだ水素ガスは通常の水には含まれておらず、水素水に期待される抗酸化作用はありません。

味には顕著な違いはありませんが、水素水は若干の「軽さ」や「まろやかさ」を持つと感じる方もいます。
これは水素が水の分子構造に影響を与えるためだという説があります。

一方で、水素水の生成には特別な装置や技術を必要とするため、通常の水に比べて高価で製品ラインナップも多くなく、市場での入手のしやすさに差があります。
また、水素ガスは時間とともに逃げやすいことから、特別な保存方法が必要です。
製品化する際には逃げないように容器を工夫し、開封後はできるだけ早く消費しなければなりません。

水素水に期待されている効果とは?

水素水によって活性酸素を除去できれば、多くの健康効果が得られます。

まず、抗酸化作用は肌の老化を遅らせる効果があるといわれています。
活性酸素によるダメージを減少させることで、肌の若返りや健康を維持できるのです。
血流を良くする可能性も示唆されており、全身の血流の改善や高血圧のリスクの低減も期待できます。

抗酸化作用は酸化ストレスも軽減するといわれており、この効果で免疫システムが適切に機能し、病気への抵抗が向上する可能性があります。
また、腸内の有害なバクテリアを抑制して腸内フローラのバランスを改善し、消化機能の改善も期待されています。

さらに一部の研究では、水素が神経炎症を抑え、神経細胞の機能を改善することによって記憶力や学習能力を向上させるとの結果もあります。

水素水を飲まない方が良いケースは?

水素水は多くの健康効果が期待されていますが、飲用に適さないことがあります。

腎臓や胃に持病がある

腎臓病や胃の疾患を抱える方は、水素水を摂取する前に医師に必ず相談しましょう。
腎臓病の場合、体内の水分バランスに問題がある状態ですが、水素水の摂取がこのバランスに悪影響を及ぼすリスクがあります。
また、胃酸が無いか極端に少ない無酸症や低酸症の場合、水素の作用でさらに胃酸を抑えてしまう可能性があるので飲まないように注意しましょう。

乳幼児

乳幼児は身体の発達が進行中であり、必要な栄養や水分が成人とは異なります。
水素水がどのような影響を与えるかについてはまだ十分な研究がなされていませんが、安全性を考えて通常の水や母乳、適切な乳児用ミルクを与えることが望ましいです。

水素水の特性や取り扱い方法について

水素水を扱う際にはいくつかの注意点があります。
特に、開封後の取り扱いや保管方法には注意が必要です。

開封したら水素が抜けていく

水素水には水素ガスが溶け込んでいますが、非常に揮発性が高いため、開封すると徐々に外部に逃げていきます。
そのため、開封後は水素濃度が低下し、時間が経つにつれてその効果も低減すると考えられるので、開封した水素水はできるだけ早く飲み切るようにしましょう。

保管や保存が難しい

水素は非常に小さく軽い分子であるため、未開封でも容器を通して徐々に漏れていくといわれています。
特に高温や直射日光は大敵なので、涼しい場所に保存しましょう。

水素水の研究情報やエビデンスは?

水素水の科学的な研究は年々進んでいますが、まだ発展途上にあります。
最も注目されている抗酸化作用の研究については、水素が強力な抗酸化剤として働き、細胞を酸化ストレスから保護する可能性は高いとされています。
また、自己免疫疾患やアレルギー反応における炎症の抑制と水素水に関する研究も行われています。

スポーツ科学の分野では、水素水が運動中の酸化ストレスを軽減し、筋肉疲労の回復を促進する可能性について研究されています。
研究結果によっては、アスリートのパフォーマンス向上やトレーニング後の回復時間短縮が期待されます。

水素水に関する科学的なエビデンスは、今後の詳細な研究によってより明確になることが待ち望まれていますので、個々の健康状態やニーズを考慮した上で取り入れてみましょう。