井戸は昔から人々に水を提供してきた大切なインフラです。しかし、戦後は水道が全国的に普及したため、最近では自宅の敷地内に井戸があってもまったく使っておらず、井戸をどうすべきか迷っている方も少なくありません。
そこで今回は、使わなくなった井戸への対処方法について解説します。
長い間使っていない井戸 そのまま放置しておいて大丈夫?
水道普及率が98%を超える現在の日本において、井戸は日常生活に絶対必要なインフラではありません。したがって、自宅の敷地内に井戸があってもほとんど使っておらず、管理もしていない例が見られます。
このような井戸の多くは老朽化してくたびれた状態になっていることが多いですが、このままの状態にしておくと次のようなトラブルが起きる可能性がるため、そのまま放置するのはオススメできません。
管理されていない井戸は悪臭や不衛生の元になる
使っていない井戸は汚れが滞留しやすいため、嫌な臭いを発生させることがあります。また、井戸の中に入ったゴミで不衛生な状態になることもあります。
老朽化した井戸蓋が原因で落下事故が起きる恐れも
長い間使われず、適切な管理もされていなかった井戸は井戸蓋も老朽化していることが多く、この状態を放置していると子どもやペットが脆くなった井戸蓋を突き抜けて井戸の中に落ちてしまう恐れがあります。
不動産売買では欠点とみなされる場合がある
土地を売り出す際、井戸の状態によっては「井戸の存在が土地活用の妨げになる」と判断され、取引が難航することがあります。
使っていない井戸への対処方法
このように、使っていない井戸を管理せず放置することは賢明な選択ではありません。したがって、想定しうるトラブルを防ぐためにも何らかの対応が望まれますが、それには「井戸の解体」と「井戸の再生」の2つの選択肢があります。
井戸の解体をする
まずは井戸の解体(または埋め直し)です。この場合の解体とは井戸をつぶすことを意味しますので、長い間存続してきた井戸とも解体工事が終われば「お別れ」となります。
解体を依頼された業者はお祓い、井戸内部の抜水と清掃、息抜き(ガス抜き)を行った後に砂利や砂で井戸穴を埋め直し、井戸があった場所が陥没しないように整えます。井戸解体工事の費用は5万円~10万円程度、工事日数は5日程度をみておきましょう。
よく「井戸を埋めるのは縁起が良くない」、「井戸をつぶすと祟られる」といった言い伝えを気にして井戸の解体をためらう方がいらっしゃいますが、これらには当然科学的根拠がなく、迷信であるともいえます。また、多くの解体業者は井戸に感謝する意味できちんとお祓いをしますので、この点は心配無用です。
井戸を再生させる
一方、使っていない井戸に手を加えて再生する方法もあります。この場合は業者に現在の井戸の状況を調査してもらった上で内部の清掃と水質検査、井戸ポンプや井戸蓋など設備の取り付けを行い、井戸水が使いやすいように整備します。
ただし、井戸の状態によっては再生できない場合もあるので、この点は覚えておきましょう。井戸再生工事の費用は15万円~30万円程度、工事日数は1週間前後であることが多いようです。
井戸の活用はメリットがいっぱい!
井戸をどうするかについては各ご家庭の事情に合わせて判断するのが一番ですが、「井戸を解体するのはもったいない気がする」と少しでも感じている場合は井戸の再生を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
水質検査の結果次第では生活用水として利用して水道代を節約できますし、災害発生で断水したときは防災井戸として水源を確保できるなど、井戸にはメリットがたくさんあります。
まとめ
使わなくなった井戸への対処方法について解説しました。
水道が普及している現在、井戸は必要ないと考える方も多いことでしょう。しかし、井戸をきちんと管理して活用すれば水道以上の利便性を発揮することがありますし、地下水という自然の恵みのありがたさ、地下水の仕組みについても学べます。
自宅に使っていない井戸がある方はぜひ、活用を検討してみてはいかがでしょうか。また、井戸を再生又は解体する予定がなくても、安全・衛生維持のための管理は日頃から心がけるようにしましょう。