ミネラルウォーターの普及により、水には「軟水」と「硬水」があることを多くの人が知るようになりました。
水の採取地によって「軟水」と「硬水」という違いがみられるのはどうしてでしょうか? その理由と影響について調べてみました。

「軟水」と「硬水」を分ける基準とは?

まずはじめに「軟水」と「硬水」の違いについて確認しておきましょう。

水を分類する際には、その水に含まれるミネラル分(カルシウムやマグネシウムなど)の量で分けています。

水に含まれるミネラル分の量が少ないもの、つまり硬度の低い水が「軟水」、ミネラル分がたくさん含まれている硬度の高い水が「硬水」となります。

「軟水」と「硬水」に分類するための硬度ですが、WHOの基準ですと60mg/リットル以下の硬度の水を「軟水」、120mg/リットル以上の水を「硬水」、軟水と硬水の中間の硬度の水を「中硬水」と分類しています。

「軟水」と「硬水」の違いはどのようにして生まれるのか

それでは、どうして「軟水」と「硬水」の違いが生じてくるのでしょうか?

日本は「軟水」の地域がとても多いといわれています。
日本は雨が多い上に、火山性の地層からなっている地域が多いという特徴があります。火山性の地層は地下水の滞留時間が短いため土地にあるミネラル分を十分に吸収することができません。
さらに平地が狭く傾斜が多いため、水は山から川へ、そして海へとすぐに流れてしまうため、ミネラル分を蓄える時間もあまりありません。
こうした2つの要素があるため、日本では「軟水」の地域がとても多くなっています。

「硬水」の地域が多いヨーロッパは、石灰質の地層が多く土地も広々としています。そうした土地をゆっくりと時間をかけて地下水が通っていくため、ミネラル分をタップリと吸収した硬水が生まれるのです。

「軟水」と「硬水」の違いは食文化にも大きく影響する


こうした「軟水」と「硬水」の違いは食文化にも大きな影響を与えたと言われています。

「軟水」の多い日本では水を使って煮炊きする料理が発達しました。
日本ではお水で煮物を作りますが、硬水の地域では牛乳やワインで煮たりすることが多いです。
軟水でお米を炊くとふっくらと炊くことができますが、硬水でお米を炊くとパサパサになってしまいます。

日本では白米が主食ですが、フランスパンのパリッとした食感を出すためには硬水で作る必要があると言われています。
その地に定着した主食も、水の種類に大きく影響を受けたと言えそうです。

日本でお茶文化が発達したのも「軟水」のお陰と言われています。
日本茶を「硬水」で淹れてしまうとお茶の苦味が抑えられてしまうため、旨み、渋み、苦味のバランスを楽しむことができなくなってしまいます。
もし、日本で採取できる水が「硬水」だったなら、お茶文化はここまで発達しなかったかもしれませんね。

水の種類は、その地域に根差した文化にも大きく影響を与えていると言えるでしょう。
海外旅行などで日本とは異なる地域に足を運んだ際には、水からその土地の文化を紐解いていくのも新しい発見ができるかもしれません。