蛇口をひねれば水道水が出ることをごく当たり前のように受け入れて、わたしたちは毎日生活しています。しかし、水の心配をしないで生活が出来るということは、実はとても凄いことなのです。

わたしたちが普段使う水道水として、水が蛇口に届くまでにどんな旅をしているのか、ご存知の方も多いとは思いますが改めて確認してみることにしましょう。

水道水の源となる雨や川の水をダムによって確保

空から降り注いだ雨は、土にしみこんで川へ流れこみます。それらいくつかの川の流れが集まって次第に大きな川になったり、沼や湖になったりします。

自然の降雨量だけに任せていたのでは、年間を通じて各家庭に供給することが出来る水の量に大きな変動が起こってしまう場合もあります。

こうした変動を防ぐために、必要に応じてダムが建設され水の貯蓄が行なわれています。

浄水場でキレイな水に変身

ダムや川、湖等に設置された取水塔からポンプで水を浄水場に運びます。
浄水場では次のような工程で浄水が行なわれています。

1. 汚れを沈殿させる

薬品を使って細かな土や砂を大きな粒にして沈ませます。

2. ろ過

細かな砂利や砂を通すことで、濁りや細菌を取り除きます。

3. 消毒

細菌の繁殖を防ぐために塩素消毒を行ないます。

4. 安全性を高めるための処理

トリハロメタン等の有害物質を取り除くために活性炭による処理を行なったり、オゾンや紫外線、微生物などを使ったりすることでより安全な水にするための処理を行なっている場合もあります。ただ、全ての浄水場で行なっているとは限りません。

給水所から各家庭へそして再び河川や海へ

浄水場でキレイで安全な水に変身した水は、送水ポンプによって給水所に送り出されます。給水所から配水管を通って、水は各家庭の蛇口に辿り着きます。

各家庭に運ばれた水は、トイレ、風呂、洗濯等様々な用途で使われます。使われて排出された水は、下水道管を通って処理場へ運ばれます。処理場で汚れが取り除かれた水は、河川や海へ戻されて行きます。

これが水道水の一生とも呼べる、一連のサイクルです。

生活排水が水の汚れに与える影響

私たちが蛇口をひねり、何気なく使用している水道水ですが、昨今は浄水場や処理場での処理を今以上に複雑にしてしまわないためにも、生活排水の見直しの必要性が迫られています。

産業排水は法整備と排水処理対策の向上によって水質が安定してきているため、河川を汚す最大の原因は、今や生活排水と言われています。

お味噌汁やスープの飲み残しをそのまま流してしまうと、その汚れを除くために大量の水が必要になります。お椀一杯分のお味噌汁の汚れを取るのに浴槽4杯分の水が必要と言われています。

水道水により高い安全性と美味しさを望むのであれば、まずは、キッチンの流し台から捨てられる飲み残しや油汚れを見直す必要がありそうです。
キッチンの流し台は河川を経て、やがてはご自分の家の水道の蛇口に繋がっていると思えば、少しずつでも生活排水に対する意識が変わっていくのではないでしょうか。