近年、非常時のライフラインの確保として井戸が再び注目を集めています。
災害時は電気やガスとともに、水道が断水してしまうことも十分に考えられます。
災害時には実際に、各地方自治体が井戸を所持している方に一時的な井戸提供・開放の呼びかけを行なったこともあります。

こうした流れを受けてか、新規井戸設置や現在使われていない井戸の再利用などの取り組みが、個人・法人問わず盛んに行われるようになっています。

今、再び注目を集める「井戸」を利用するために欠かすことのできないアイテムである「井戸ポンプ」と、「井戸の掘り方」の種類と特徴についてご紹介します。

井戸ポンプの種類と特徴

井戸ポンプとは、その名の通り井戸から水を汲み上げるためのポンプです。
基本的に自然に水が湧き出す「自噴井(じふんせい)」と呼ばれるタイプの井戸以外では、ポンプによって地中の水を汲み上げ使用しています。

「井戸ポンプ」は、井戸の水位やポンプの設置箇所によって、様々な種類があることをご存知でしょうか?
まずは、井戸ポンプの種類とそれぞれの特徴を確認しましょう。

浅井戸ポンプ

井戸水の地上までの水位が8m以内の井戸に使用するポンプです
構造がとてもシンプルなため昔からよく普及しており、電動ポンプ、手動の手押しポンプどちらでも対応可能です。
硬い岩盤の上の地下水を利用するため、水質や水量が変化しやすく、飲料水ではなく生活用水として利用される場合がほとんどです。

深井戸ポンプ

井戸水の地上までの水位が8mを越える場合に用いるポンプです。
硬い岩盤の下の地下水を利用するため、豊富な水源から安定した水量と水質が維持できます。
また水温が一定で、夏は冷たく冬は温かく感じられるため、1年を通して快適な井戸水が利用できます。

深井戸ジェットポンプ

井戸の水位の深さが8m〜20mの井戸用のポンプになります。
井戸のすぐそばにモーター、電装、制御部を設置し、井戸の中に吸込管と圧送管を繋いだジェット部分を設置する構造が特徴です。
開発当初は稼働時の運転音が大きく、家庭用として使用するのは難しいものでしたが、最近のモデルはかなりの音が低減されています。
主に高層マンションなど、水を上に高く吸い上げる必要がある建物での利用頻度が高まっています。

深井戸水中ポンプ

ポンプ部分を井戸の水中部に設置する構造のポンプです。
主にかなり深い井戸に利用され、水位が20mを超える場合も十分に対応可能です。
水量を豊富に得ることが可能で、水量の多さはジェットポンプに比べておよそ2倍にもなります。
また、地上に設置する部分は、とてもコンパクトな電装と制御部分のみなので、場所を取ることもありません。
さらに、稼働時の運転音が全く聞こえないため、騒音に対する配慮も不要です。

井戸の掘り方の種類と特徴


井戸ポンプは、井戸の掘り方の種類や特徴に合わせて選ぶことも重要なポイントです。

井戸の掘り方には大きく「掘り抜き井戸」と「打ち込み井戸」があります。
それぞれ、どんな特徴があるのか確認してみましょう。

掘り抜き井戸

掘り抜き井戸とは、地下の水があるところまで穴を掘り、そこから水を汲みだす仕組みの井戸です。希望の水量にあわせて穴の深さや、大きさを広げることが出来るため、ある程度、柔軟に調整ができます。

掘り抜き井戸には「浅掘り」と「深掘り」がありますが、単純に井戸の深さだけではなく、井戸の水位の深さも考慮した上で井戸ポンプの種類を決める事が重要です。
井戸の深さだけで見ると、浅井戸でも水位が8mを超える場合は深井戸タイプのポンプを利用する事になります。

打ち込み井戸

打ち込み井戸は、小さな穴が開いているパイプを地面に打ち込み、そのパイプから水を吸い上げる仕組みの井戸です。
掘り抜き井戸に比べて、短期間で比較的安く設置することができます。
このタイプは深さ20mが限界のため、水量が少ないことが多く、計画的に水を使用する必要があります。
そのため、最初は手動タイプのポンプを使用し、状況に応じて電動ポンプに切り替えるなど、水量や利用に応じてポンプを変えるといいとされています。

井戸ポンプを選ぶ際には、今回ご紹介した「井戸ポンプ」と「井戸の掘り方」の種類や特徴を理解することが大切です。
ただし、井戸を掘る場所や使用目的によって、利用できるポンプや井戸の掘り方が限られる場合もあります。
井戸の設置を検討している方は、まずは井戸ポンプ専門業者によく相談し、プロと一緒に最適な井戸ポンプを選びましょう。