井戸ポンプの導入を検討する際には、軟水か硬水かといった水の種類も事前にチェックしておくことが大切です。
なぜなら、水の成分により活用できる用途も異なってくるためです。また、井戸の掘り方や地域によっても水の種類は変わってきます。

そこで今回は、軟水と硬水の違いや水の種類の確認方法などについてご紹介します。

井戸水は軟水?硬水? 井戸の深さによる違いについて

水には軟水と硬水があることはご存知の方も多いと思いますが、井戸を掘った場合には、井戸の深さをはじめ、地域差や周囲の環境によって水の硬度も異なってきます。
そのため、井戸ポンプの導入を検討する際には、井戸を設置する地域の地下水は軟水と硬水のどちらが多いのか、どれくらいの深さの井戸にするのか、どのような用途で使用するかなどを踏まえて考えなければなりません。

井戸を掘る深さについてですが、井戸は主に浅井戸と深井戸の2種類に分けられ、10メートルほどの深さのものが浅井戸、30メートルほどの深さになるものが深井戸となります。
そして井戸水の元となる地下水は、雨や雪が溶けて地面に浸透し、地層深く到達するまでろ過された水になります。地層の中には、ミネラル分などの成分も含まれているため、地層深くまで浸透するほどミネラル分が多く含まれます。
水に含まれるミネラル分によって硬水と軟水に分けられますので、地層深くの地下水ほど「硬水」に近くなります。一方、浅井戸は浅い地層の水のため、ミネラル分が少ない「軟水」に近くなることが多くなります。

ただし、この仕組みは地域差によっても影響します。元々の地層にミネラル分が多い地域なら、たとえ浅井戸でも硬水が出る場合もあるのです。
硬水と軟水の違いについては、過去に井戸ポンプ情報局で取り上げていますのでそちらをご覧ください。(意外と知らない硬水と軟水の違いとは?)

日本と外国での水の硬度の違いが料理にも影響?

軟水か硬水かは、ミネラル分のカルシウムとマグネシウムの含有量で算出する硬度の数値で決まります。日本ではアメリカの基準が採用されており、算出方法は「カルシウム濃度×2.5+マグネシウム濃度×4.1」となっています。
このカルシウムとマグネシウムの含有量は、実は各国の料理にも影響を与えています。

例えば、日本では地形や気候の影響で地下水の滞留時間が短いため、ミネラル分の含有率が低い軟水が多くなります。反対にヨーロッパでは、水はゆっくり地層を通過し、地下に留まる時間が長くなる地域が比較的多く、ミネラル分の含有率の高い硬水になります。
このようにして軟水と硬水ではカルシウムやマグネシウムの含有率が異なるため、各国で料理に使用される水の味わいや風味も異なるのです。

そして、国ごとに水の硬度が異なるため、一般的に日本料理に硬水は適さないという話もありますが、お酒に関しては違います。実は、日本酒の仕込みでは軟水だけでなく硬水も使われることがあります。

硬水を使った日本酒で有名なのが、兵庫県、灘の宮水です。発酵が進みやすく、失敗も少ないため、この地域では酒造りにピッタリの水として知られています。味は一般的にハッキリとしたキレがあるとして親しまれています。
一方で、軟水を使った日本酒ではまろやかで柔らかくなるという違いがあります。軟水を使った日本酒では新潟県や京都伏見の御香水が有名ですので、日本酒好きの方は軟水か硬水かにも注目してみてはいかがでしょうか。

硬水よりも軟水のほうが用途は幅広い? 水質の硬度の調べ方

硬水よりも軟水のほうが用途は幅広い?
軟水と硬水にはそれぞれメリットとデメリットがありますが、用途の幅広さを考えた場合、軟水のほうがオススメです。また、工業用水や洗車でも軟水の使用をオススメします。

その理由は、硬水の場合、硬度成分により白い結晶ができやすく汚れとして目立ってしまうためです。加湿器やアイロン、お風呂の鏡、洗車やガラス食器などでよく見られる現象と同じです。また、工業用水や工業原料用水として硬水を使うことで、設備に悪影響を与えるという恐れもあるようです。このような点を踏まえると、軟水のほうが使い勝手はよいといえるでしょう。

なお、井戸ポンプを導入する際、設置予定地の水が軟水か硬水かをご自身で調べたい場合は、日本水道協会ホームページの水道水質データベースでチェックすることが可能です。各地の水に関するさまざまな情報が公開されており、井戸を設置したい土地の水の硬度もデータで確認できます。

また、水道水質データベースよりも詳細なチェックをしたい場合には、硬度測定用キットを使うのもよいでしょう。調べ方は硬度測定用キットごとに異なりますが、一般的なものでは、紙、容器、薬品などを使い色の変化で確認します。なかには、デジタル機器で数値を確認できるものもあります。

軟水器を使用すると硬水から軟水にできる!

現在は、硬水を軟水にできる便利な軟水器も販売されています。地層の関係で硬水しか出ない地域にお住いの方には特にオススメです。似たような機器としては浄水器もありますが、井戸水に含まれる無機塩類などの硬度成分や鉄分は軟水器でしか除去できませんので注意が必要です。

また、軟水器は井戸水だけではなく水道水にも使用できます。不純物を除去し純水に近くなるため、お風呂やトイレなどの汚れもつきにくくなりお手入れも楽になります。既に浅井戸を設けており、水をさらにまろやかにしたいという方にもオススメです。軟水器については、過去に井戸ポンプ情報局で取り上げていますのでそちらをご覧ください。(軟水器があれば井戸水がもっと使いやすくなる!)

まとめ

軟水と硬水の違いや水の種類の確認方法などについてご紹介しました。井戸ポンプの導入を検討する際には、まず用途を明確にし、軟水か硬水かをチェックしたあと、浅井戸にするか深井戸にするかなどを決めていきましょう。
軟水と硬水ではそれぞれメリットとデメリットはありますが、やはり使い勝手の良い軟水がオススメです。もしも硬水が出る地域にお住いの場合には、硬度成分を除去できる便利な軟水器がありますので、ぜひ一度利用を検討してみてはいかがでしょうか。