快適な我が家を求めて様々な不動産との「お見合い」を繰り返す物件探し。
その際は少々珍しい住宅に出会うことも少なくありません。たとえば、井戸付きの物件もその一つです。
なかには、「井戸水利用ってどうなんだろう?」と井戸水を利用する生活が想像できない方もいらっしゃることでしょう。

そこで今回は、「井戸付き物件」に住む場合のメリットと注意点、物件の探し方についてご紹介します。

賃貸のアパートやマンションにも! 意外に多い「井戸付き物件」

「井戸付き物件」とは言葉通り、住所敷地内に井戸がある物件のことをいいます。
日本の水道普及率は全国平均で98%であり、現在では昔ほど井戸を見る機会は多くありません。厚生労働省が発表している水道の基本統計「平成30年度 現在給水人口と水道普及率」によれば、東京と大阪の水道普及率は100%。首都圏であれば「井戸を見たことがない」という若年層の方がいてもおかしくありません。
しかし、100%以外の地域であれば井戸が生活の中のどこかで活用されていることもあり、井戸付き物件・井戸水利用の一軒家やマンション・アパートに出会う可能性は高くなります。

ただし、井戸付き物件・井戸水利用といってもその様態は一様ではなく、トイレやお風呂のみ井戸水を利用する場合のほか、台所でも使われることがあります。どちらにしても井戸水を活用する分、水道の使用量が減るため、水道代の節約になります。

水道代がお得に?! 井戸付き物件のメリット

水道しか使ったことがない方にとって、井戸水利用の物件を購入したり借りたりして居住することは少々勇気が必要なことかもしれません。しかし、井戸付き物件には次のようなメリットがあります。

水道代を節約できる

前述の通り、井戸付き物件では水道代をかなり節約できる可能性があります。特に水道代の高い地域での節約効果は大きく、今までの半分以下になることも。
「家庭菜園で水撒きをする」または「頻繁に洗車する」といった場合はもちろん、同居家族が多いため洗濯や入浴で大量の水を使う世帯の場合でも、井戸付き物件なら安心できますね。そして、下水道にも井戸水を利用する場合は下水道代も節約できます。

万が一の時にも安心! 防災井戸としての活用も

地震をはじめとする災害が発生した際は水道管の破裂による断水が懸念されますが、井戸の場合はこのようなことがないため、万が一のときでも水を確保できます。災害の程度によっては水道がすぐに復旧されないことも多く、「今後の万が一」を真剣に考える場合は井戸付きであることが好条件になるでしょう。

井戸付き物件の注意点は?

井戸付き物件には様々なメリットがある一方で、次のような注意点もありますので、物件を購入する場合には留意点としてしっかり認識しておくことが大切です。

井戸ポンプのメンテナンスと水質検査が必要

井戸水を生活用水として利用する場合は、電動または手押しのポンプが必要です。したがって、もし井戸付き物件を購入してオーナーになる場合はポンプの修理や点検などのメンテナンス費用がかかってしまいます。
もちろん、生活用水として使用するからには定期的な水質検査(年1回以上)が必要になり、費用も数万円にのぼることがあります。

電動ポンプは停電すると使えない

電動ポンプは電気を使って水を汲むため、停電時は井戸水を利用できません。そのため、井戸付き物件を購入するにしても借りるにしても、防災を重視している場合は手押しポンプも併設されているかどうかが重要なチェックポイントとなります。
電動ポンプのみの井戸付き物件を購入する場合は、後から手押しポンプを取り付けた方がいざという時に役立つでしょう。また、不動産投資物件として購入する場合でも、こうした配慮があった方が物件の価値向上につながります。

井戸付き物件を探してみよう!

井戸付き物件を探してみよう
以上の通り、井戸付き物件は水を使う機会が多い方におすすめの物件です。井戸付き物件は次の方法で探せますので、興味のある方は物件情報をチェックしてみましょう。

物件情報サイトで「井戸水」と検索する

物件情報サイトのフリーワード検索で「井戸水」と検索してみましょう。そうすると「トイレと風呂に井戸水利用」「トイレのみ井戸水利用」などの説明がある物件情報が出てきます。
なお、「井戸」のワードのみで検索すると、この単語が使われている町名などが検索結果に出てきてしまい、物件探しに時間がかかってしまうことがあります。

不動産仲介会社に直接出向いて尋ねる

インターネット検索でなかなか情報が見つからないときは、多種多様な物件情報が集まっている最寄りの不動産仲介会社に出向いて直接尋ねてみましょう。また、物件の住所にこだわらないようであれば、井戸が多い地域を中心に探すのも手です。千葉県や熊本県は井戸付き物件が多いことで知られています。

まとめ

「井戸付き物件」に住む場合のメリットと注意点、物件の探し方についてご紹介しました。
井戸を積極的に活用する場合は安全と利便性のため、ポンプのメンテナンスや定期的な水質検査は欠かせません。しかしこうした点をクリアできれば、地下水という自然の恵みならではのメリットを享受できます。

水道代を節約しつつ、自然に寄り添った生活を目指している方は住居選びの際にぜひ、井戸付き物件を検討してみてはいかがでしょうか。