冬といえば、ふかふかに積もった雪を見て、ウキウキな気分で雪合戦をしたり雪だるまを作ったりと、子供時代の楽しい思い出がたくさん残っている方も多いことでしょう。
なかには、ふわふわな新雪がまるで出来立てのかき氷のように見えて、つい食べようとしたところ「雪は汚いから食べたらダメだよ!」と怒られてしまった苦い思い出があるという方も。
雪は一見キレイに見えても、さまざまな不純物が含まれているため大量に食べてしまうと体調を崩す恐れもあり、雪山で遭難したときなどの非常時に水分補給としてもそのまま口にしてはいけないそうですが、雪には具体的にどんな不純物が含まれ何故食べてはいけないのでしょうか?
環境汚染物質が含まれていることも? 雪を食べてはいけない理由とは
雪が積もって白銀の世界が広がる光景は、美しい冬の魅力の一つ。
しかし、雪には「エアロゾル」と呼ばれる空気中に漂うさまざまな不純物が含まれており、塵やホコリ、花粉などの小さな粒子が付着しています。
雪は水蒸気からできた氷の結晶なのでとてもキレイに見えますが、塵やホコリなど空気中に飛散しているゴミが結晶の核=中心となって構成されているので、雪を食べるのは空気中のゴミを食べているということになるのが「汚いから食べたらダメ!」と言われる理由です。
とはいえ、私たちは普段から呼吸で塵やホコリを吸い込んでおり、雪に含まれるゴミの量も少量なので少し食べたくらいでは問題ないことがほとんどですが、積もってから時間が経った雪は地上のさまざまな汚れも付着しているので、万が一お子さんが口にしようとしていたらしっかり注意しましょう。
実際に道端の雪を食べてしまい、腹痛で緊急搬送されたという例も報告されています。
また、降ったばかりの雪であっても、地域によっては「硝酸イオン」や「硫酸イオン」、「PM2.5」といった環境汚染物質が含まれている危険があるので、「雪を食べるのは危ない」という認識は常に心がけてください。
雪は雨よりも地面に落ちるスピードが遅い分、空気中の塵やホコリだけでなく、環境汚染物質などもより多く含んでいる恐れがあります。
雪が降ったあとはペットの散歩中にも注意が必要
雪を食べてはいけない理由は先述のとおりですが、犬や猫を飼っている方はペットが誤って雪を口にしないように気をつけてください。動物の場合はさらに次のポイントに注意が必要です。
凍結防止剤や融雪剤が散布されている可能性がある
特に犬を飼っている方は、お散歩のときに誤って雪を食べてしまわないようにしっかり見張っておくようにしてください。
雪が降りやすい地域では、歩道や車道などに凍結防止剤や融雪剤が散布されている可能性があるためです。これらは雪を溶かすための薬剤であり、誤って口にしてしまうと塩化ナトリウムといった原料が原因で体調不良を引き起こす恐れがあります。
普段は雪があまり降らない地域であっても、降ったあとは念のため注意しましょう。
さまざまなゴミ・汚れが混じっていることも
凍結防止剤や融雪剤以外にも、積もった雪の中にはさまざまなゴミ・汚れが混ざっている危険があります。例えばタバコの吸殻、砂・石、植物などが混じっていて万が一ペットが誤って食べてしまうと大きなリスクが伴います。
また、他の動物の排泄物が雪に混じっていることもありますので散歩の際は注意してください。
これらは主に犬や猫などの動物が巻き込まれやすいトラブルの例ではありますが、もちろん人間も同様に重大なリスクが伴いますので、積もってから時間が経った雪は食べることはもちろん、触れるのもなるべく避けた方がよいでしょう。
雪山で遭難したときなど非常時の水分補給としても雪はNG?
雪を食べてはいけないと理解していても、万が一雪山などで遭難してしまって食料もないときは「非常時なので口にするのは仕方がないだろう」と考える方もいらっしゃることでしょう。
しかし、もしも食料や飲み物が尽きて喉が渇いても、水分補給としてそのまま雪を食べるのは危険といわれています。
雪を口に含むと、体内で雪を解かして水にしようとするのにカロリーを消費し、実はかえって体力を消耗する原因となります。
例えば、1グラムの水の温度を1度上げるために必要なエネルギーは1カロリーですが、1グラム0度の雪(氷)を0度の水にするためには約80カロリーものエネルギーが必要になるため、雪を食べてしまうとさらに喉が渇き体力を消耗してしまうのです。
さらに、雪自体がとても冷たいため身体の体温が下がる原因となり、水分補給したつもりがより危険な状態になる恐れがあります。
また、雪が降った際にふざけて大量に食べてしまったあと、腹痛で緊急搬送されたというケースがありますが、これは雪に含まれていた成分が原因となっただけでなく上記の理由で急激に身体が冷えてしまった可能性も考えられます。
まとめ
雪を食べてはいけない理由についてご紹介いたしました。
雪には塵やホコリなどが含まれているほか、思わぬ環境汚染物質が混じっている危険もあり、腹痛などさまざまな体調不良を引き起こす原因になりますので、万が一お子さんが口にしようとしていたときは今回ご紹介したポイントを踏まえて「雪は汚いから食べたらダメだよ!」としっかり注意してあげてくださいね。