日本は水資源が豊富で、蛇口をひねるとすぐに衛生的な水が出るため「水不足」といわれてもあまりピンと来ないかもしれませんね。
しかし近年、世界各地では水不足が深刻な問題となっており、水の需要に対して供給が追いつかず、生活に十分な水を使用できない地域もあるのです。
そこで今回は水不足の原因と問題点について解説し、私たちができることをご紹介します。
なぜ水不足になるの?
水不足の原因は一つだけではありません。まず、その原因について詳しく見ていきましょう。
人口増加
世界の人口は年々増加しており、これが水不足の原因の一つとなっています。
人口が増えると、飲料水や農業用水、工業用水の需要も比例して増加し、特に都市部では人口密度が急激に高まり、供給が追いつかなくなるケースも見られます。
産業発展
産業の発展も水不足を引き起こす原因で、工業や製造業では大量の水が使用されます。
例えば、発電所、製鉄所、化学工場などは大量の冷却水を必要とし、農作物を育てるための農業用水の需要も増加しており、水資源への負担が増大しているのです。
また、工場からの排水によって、清潔な水が汚染されるという現象も起きています。
温暖化
気候変動による温暖化も、水不足を深刻化させています。
気温の上昇によって水の蒸発量が増加する一方で、降水量が減少し、各地で干ばつが頻発するようになっているのです。
また、氷河や雪氷の融解も進み、それによって河川の水量が減少し、下流域の水供給に影響を及ぼしています。
環境破壊
森林伐採や湿地の破壊、河川の汚染などの環境破壊によって、水の自然循環が阻害されているのも一因です。
特に森林は、雨水を蓄える重要な役割を果たしているため、森林伐採による減少は水の減少に直結するのです。
また、前述した工業排水などによって河川や湖沼の汚染が進むと利用可能な清浄な水の量が減り、さらに水不足が深刻化します。
これらの要因が重なり合うことで、現在の水不足という状況が生まれているのです。
水不足になるとどうなるの?
水不足になると、社会や個人の生活に多くの深刻な問題が発生します。具体的な問題点を挙げていきましょう。
栄養不足
まず、水不足は「食」に直結する問題で、農作物の生育に必要な農業用水が不足すると、食糧生産が難しくなります。
農作物の収穫量が減少すると食糧供給が不安定になり、栄養不足や飢餓のリスクが高まるのです。
特に発展途上国ではこの問題が顕著であり、食糧不足が深刻な栄養問題を招いています。
健康被害
清潔な飲料水の不足は、様々な健康問題を引き起こします。
不衛生な水源からの水を使用することで下痢やコレラ、赤痢などの水系感染症のリスクが高まり、このような疾病は、特に免疫力が低い子供や高齢者にとって致命的です。
清潔な水が不足していると基本的な衛生管理が難しく、手洗いや食器の洗浄などが不十分になりがちで、上記のような感染症の蔓延に繋がります。
水ストレス
聞き慣れないかも知れませんが、「水ストレス」という言葉が存在します。
水不足は日常生活において大きなストレスとなり、特に水を確保するために長時間歩かなければならないような地域では住民に過度な負担がかかり、都市部でも水道の供給制限が頻繁に行われることで不便を強いられます。
こうした水ストレスは、精神的な健康にとって悪影響となり、社会不安の原因ともなるのです。
経済的な影響
水不足によって農業や工業生産が滞ると、農作物の減産による食糧価格の高騰や、工業製品の生産停止による生活必需品の供給不足になり、経済全体に影響を及ぼします。
さらに、観光業など水に依存する産業も影響を受け、地域経済にとっても大ダメージです。
このほかにも、限られた水資源を巡って地域間の対立が起こり、時には武力衝突に発展するケースもあります。
日常生活でできる範囲の取り組みをしよう
水不足の問題は、私たち一人一人の行動によって少しずつ解決に近づけられます。まずは日常生活における節水意識を高め、家庭内での節水対策を徹底しましょう。
例えば、シャワーの時間を短くすると一度に使用する水の量を減らせて、5分短縮するだけで1ヶ月に数百リットルの水を節約できるといわれています。
また歯磨きや皿洗いの際には水を出しっぱなしにせず、必要な時だけ水を流すようにし、食器を洗う時はすすぎをまとめて行えば、水の使用量を減らせます。節水型のシャワーヘッドやトイレ、洗濯機を導入するのも良いでしょう。
募金活動などもあるので、興味がある方は調べてみて下さい。
私たちの日常生活の中でできる小さな取り組みが、地球全体の水資源を守る大きなものとなるので、無理のない範囲で意識して取り組んでみて下さいね!