
暑い季節になると、ひんやり冷たいかき氷が恋しくなりますよね。最近では専門店も増え、ふわふわ食感のかき氷を求めて行列ができることも少なくありません。
そんなかき氷のおいしさを左右する大きなポイントが「氷の種類」。特に注目されているのが「天然氷」と「純氷」の違いです。見た目は似ていても、実はその作られ方や特性は大きく異なります。
今回は、天然氷と純氷の違いや、それぞれのメリットを分かりやすく解説します。
天然氷と純氷とは?
「天然氷」と「純氷」は、どちらも一見同じように見えるかもしれませんが、製造方法や風味、食感に明確な違いがあります。
天然氷
天然氷とは、冬の寒さを利用して自然環境の中でゆっくりと凍らせた氷のことを指します。
主に山間部の湧き水や清水を用い、氷池(こおりいけ)と呼ばれる施設で時間をかけて凍らせます。自然に凍る過程で不純物が押し出され、非常に純度の高い氷ができあがるのが特徴です。特定の地域でしか生産できず、製氷業者の伝統的な技術と徹底した温度管理のもとで作られるため、希少価値も高いといえます。
純氷
純氷は、水をろ過・殺菌した後、専用の製氷機で48時間以上かけて凍らせた氷です。こちらも高い純度を誇り、透明度のある美しい見た目が特徴です。
人工的に製造されるため、品質が安定しており、スーパーやコンビニなどでも手軽に入手できる利便性があります。
天然氷の魅力とメリット
天然氷の最大の魅力は、口どけの良さです。天然氷は長い時間をかけてゆっくりと凍らせるため、氷の結晶が非常に細かく、密度が高いという特性があります。この構造により、かき氷にしたときにふわっと削れると同時に、すっと口の中で溶けるという絶妙な食感が楽しめます。まるで雪のような舌ざわりが、普通の氷では味わえない特別感を生み出してくれるのです。
また、天然氷は雑味がないことでも知られています。自然の湧き水や井戸水などの澄み切った水を使用し、冷たさの中にほんのりとしたやさしさが感じられるのは、まさに天然氷ならではの特性です。
さらに、天然氷は安心・安全な食品としての信頼性も備えています。多くの製氷所では、水質管理や衛生管理に非常に厳しい基準を設けており、天然氷は食品としての品質基準をクリアしたうえで出荷されています。これは、子どもからお年寄りまで安心して口にできるという大きなメリットです。
加えて、天然氷には地域ごとの特色があるのもポイント。栃木県の日光や山梨県の南アルプス、長野県の諏訪など、全国でも限られた地域でしか作られておらず、その土地の水や気候、製氷文化が反映された味わいを楽しむことができます。まさに「その場所でしか味わえない一杯」としての価値も、天然氷の魅力のひとつです。
純氷の魅力とメリット
純氷でまず注目すべきは、高い透明度と美しい見た目です。純氷は48時間以上かけて徐々に凍らせて作られるため、空気や不純物が極力取り除かれ、ガラスのように澄んだ氷ができあがります。カクテルなどのドリンクに使えば、見た目の清涼感がぐっと引き立ち、かき氷に削っても氷そのものの美しさを楽しむことができます。
次に挙げられるのが、安定した品質と供給のしやすさです。天然氷は自然条件に左右されるため生産量が限られますが、純氷は常に一定の品質を保った氷を安定的に入手できます。店舗営業においても、急な需要増に対応できるというのは大きな利点です。
また、純氷も衛生管理が徹底されているという点でも信頼性があります。食品衛生法に基づき作られるため、安全性は非常に高く、水道水から作られるケースが多いため、どこでも安定した味と品質が保証されています。
さらに、コストパフォーマンスにも優れているのが純氷の強みです。天然氷に比べて比較的安価で手に入るため、家庭用のかき氷機でも気軽に使えます。
また、硬く溶けにくい特性があるため、削ってもすぐに水っぽくならず、しっかりとしたかき氷の形を長時間キープできるのもメリットです。
氷の違いを知って、おいしいかき氷を堪能しよう
かき氷は、氷の種類一つでその味わいや食感がぐっと変わる奥深いスイーツです。天然氷ならではのなめらかさや純氷の使いやすさなど、それぞれの魅力を実はあまり知らなかったという方も多いのではないでしょうか?家庭でも本格的な一杯を楽しみたい方は、ぜひ氷選びにもこだわってみてくださいね。