近年、井戸は生活用水として水道代を節約するためだけでなく、防災用としても大きな注目を集めています。
一方で井戸ポンプ設置を検討する際に忘れてはならないのが「水質検査」です。コストもかかる水質検査については、「なぜ受けなければならないの?」、「費用はいくら?」、「どんな検査が必要なの?」など、最初は多くの疑問を抱えてなかなか井戸の設置に踏み切れないという方もいらっしゃいます。

そこで今回は、水質検査にまつわる疑問について分かりやすく解説していきます。

水質検査とは? 絶対に受けなければいけないの?

はじめに「水質検査」とは、その水にどのような成分が含まれているのかを調べるための検査のことです。健康被害を起こさず、安心・安全に井戸水を使い続けるために必須だと言われています。
ここで気になるのが「水質検査は絶対に受けなければならないのか?」という点ですが、一般家庭の個人用井戸であれば、法律で定められた義務ではありません。検査が義務付けられているのは水道事業者が提供する水道水のみであり、一般家庭用の井戸水はこの対象ではないからです。

しかし、井戸水の中に含まれた目には見えない有害物質によって、健康被害が生じる可能性はゼロではありません。
厳密なチェックのもとで供給されている水道水との違いを頭に入れた上で、責任をもって「安心安全に飲める水であること」を確認し続ける必要があります。

厚生労働省や保健所は、国民の健康を守るため、自主的に水質検査を受けるようアナウンスしています。しかし、これはあくまでも「井戸水を飲料水としても使用する場合」のみ。例えば「庭に井戸ポンプを設置したが、飲料用ではない」という場合、水質検査を受ける必要はありません。ただし、決して間違って飲んでしまうことがないよう十分に注意してください。

水質検査の項目数とは? ケース別最適検査内容について

ケース別最適検査内容について
各家庭に供給されている水道水は、飲み水として安全に使用できることを確認するため、51項目での水質検査を受けています。
一般細菌や大腸菌はもちろんのこと、カドミウムや水銀、鉛やヒ素など、その水が飲料用に適しているかどうかを幅広い視点でチェックできる検査ですが、内容が充実している分コストが高いという特徴があります。

井戸水を飲料水として使用する場合も、「できれば51項目での検査を受けるのが望ましい」とされていますが、毎年51項目検査を受けようとするとコストの負担が極めて重くなってしまうでしょう。こうした状況の中で登場しているのが、検査項目を絞って水質検査を行う手法です。
「11項目検査」や「21項目検査」など、項目数によって違ったコースが用意されているのは、ご自身の状況とコストに合わせてぴったりのコースを選べるようにするためです。どの検査を選ぶべきか悩んだときには、以下のケースを参考にしてみてください。

全51項目検査の場合

井戸ポンプを設置して初めて水質検査を受けるときや、以前は使われていた井戸を久しぶりに復活させる場合、または井戸の周辺で大規模な環境変化があり水質に不安があるときなど。

21項目検査の場合

全51項目検査と同様に井戸ポンプを設置して初めて水質検査を受けるときをはじめ、臭いや色など水質の変化が確認されたときや、普段は11項目検査をしている場合は数年に1度の大規模チェックの際など。

11項目検査の場合

11項目検査については、上記の検査を経て毎日問題なく使えている井戸水の1年に1度の最低限チェックに利用するとよいでしょう。

水質検査はどこで受ける? 検査にかかる費用はどのくらい?

井戸水の水質検査は、各自治体の保健所や一般企業で受け付けています。それぞれの受付で専用容器を受け取り、自宅の井戸水を採取して送付すれば検査結果が送付されます。

結果が出るまでには、一般的に約10日~14日を要するので計画的に行動しましょう。自治体の保健所で検査を受けるスタイルが一般的ですが、「素早く検査結果を知りたい」、「11項目検査に、気になる項目をプラスして対応して欲しい」、「全51項目検査に対応して欲しい」といった場合は一般企業を選ぶメリットの方が多くなる可能性もありますので、臨機応変に選択してみるのも得策です。費用は高くてもオプションやサービスが充実している傾向があります。

そして水質検査を受ける際に、気になるのが検査費用についてです。毎年欠かさず発生する費用ですから、井戸水を使用するための必要経費と捉えてください。
検査費用は項目数によって変わってきますが、最低限チェックしておきたい11~13項目チェックであれば、費用は8,000円~12,000円程度が相場となります。20項目以上をチェックする場合は20,000円~40,000円程度、全51項目では50,000円程度が相場となります。

井戸水を使用する場合は、水道水のように「水道代」が加算されることはありませんが、こうした「毎年の検査代」が発生することを頭に入れておきましょう。

水質検査は最初に時期を決めて行うのがオススメ!

井戸ポンプ設置の際の水質検査にまつわる疑問について解説いたしました。
飲料用の井戸ポンプを設置したら、1年に1度の水質検査は忘れないようにしてください。オススメはしっかりとルールを決めて、検査を受ける時期を毎年固定する方法です。例えば、大掃除の一つとしてや井戸を設置した日、または家族の誕生日とセット、さらには11月10日(いい井戸の日)など覚えやすい日程に設定するのがよいでしょう。
ご本人やご家族にとって忘れにくい時期を設定して、安心・安全な井戸水ライフが送れるように工夫してみてくださいね!