厳しい暑さが続く中、注意しなければならないのが熱中症です。「まだまだ大丈夫」と油断していると、一気に症状が進行し、場合によっては非常に危険な状態になってしまう可能性も。常に熱中症リスクを考慮し、身体に負担をかけない生活を意識することが大切です。

そんな熱中症対策で、重要なポイントと言えば水分補給です。
今回は熱中症にならないための水分補給のポイントや、熱中症対策には向かない飲み物の種類について、わかりやすく解説します。

水分補給は「こまめに少量ずつ」が基本

熱中症を予防するためには、「喉が渇いたときに一気に飲む」のではなく、「喉の渇きを感じる前から、少しずつ水分補給する」のがベストです。
人間の脳の仕組みは複雑なもの。「喉が渇いた!」と思って水分を摂取しても、汗として排出した水分量の約8割が補給されると、「もう十分だ」と判断してしまいます。
つまり、十分に水分補給したつもりでも、実際には補給量が足りていないという状況に陥ってしまうのです。

また、摂取した水分を体内に吸収するのは小腸です。小腸が一度に取り入れられる水分量は、約130ミリリットル程度です。吸収するためには、30分以上の時間を要します。より多くの水分を適切に身体の中まで届けるためには、コップ1杯程度の水分を継続的に摂取するのがおすすめです。

熱中症予防のための指標となるのが、暑さ指数(WBGT)熱中症警戒レベルです。毎年7~8月には、危険レベルに達する日も少なくありません。特にリスクが高い日に、負担の大きい行動を取るのであれば、30分に1回以上の水分補給を心掛けましょう。

熱中症対策に向いているドリンク

熱中症予防のための飲み物は、「とにかくなんでもいい」というわけではありません。
ここでは、熱中症予防におすすめのドリンクとしてお馴染みの「経口補水液」や「スポーツドリンク」、そして「冷たい味噌汁」を飲むメリットを改めて確認しておきましょう。

これらのドリンクがおすすめされる理由は、水分の中に適度な塩分を含んでいるためです。人間は汗をかくと、水分と一緒に塩分も排出されます。「喉が渇いたから」という理由で水分だけを補給すると、体内の血液中の塩分濃度が下がり、脳が「これ以上水分補給をするな(塩分濃度を下げるな)」という指令を出します。たくさんの汗を出し、血液中の塩分濃度を維持しようとするため、さらに熱中症リスクが高まってしまいます。

熱中症予防にもっとも効果的なのは、水分と塩分がバランスよく配合された「経口補水液」です。より手軽に入手できるのが「スポーツドリンク」ですが、水分と塩分だけではなく、糖分も摂取してしまいます。熱中症対策のためとはいえ、糖分の過剰摂取にならないように注意しましょう。「味噌汁」にも、水分と適度な塩分が含まれています。冷たく冷やして摂取すれば、身体を冷やす効果も期待できるでしょう。

また、夏場の飲み物と言えば、「冷たい麦茶」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。確かに麦茶は体に良く、子どもたちにも安心して飲ませられる飲み物ですが、麦茶ばかり飲んでいると塩分が不足してしまいます。麦茶で水分を補給するなら、塩飴や梅干しなども一緒に摂取することを、忘れないようにしましょう。

熱中症対策に向かないドリンク

熱中症対策に向かないドリンク
反対に、熱中症対策としては避けた方がよいドリンクは主に「アルコール飲料」、コーヒーやお茶などの「カフェイン入り飲料」、「各種ジュース類」、「牛乳」などが挙げられます。

「アルコール飲料」や「カフェイン入り飲料」が熱中症対策に向かない理由は、利尿作用があるためです。お酒やコーヒーを飲んだあとに、トイレに行きたくなる方は多いはずです。水分補給をしたつもりが、かえって体内の水分量を減らしてしまうという特徴があります。暑い中、たくさん活動したあとに、冷たいビールやコーヒーを飲むと、「一気に体が冷えて心地よい!」と感じるかもしれませんが、これはあくまで一時的な作用です。熱中症予防という観点では逆効果になってしまうので注意しましょう。

子どもたちに人気の「ジュース類」が向かないのは、糖分の過剰摂取になってしまうためです。近年、ジュースの飲みすぎによる肥満やペットボトル症候群も注目されるようになっています。熱中症以外の健康リスクを高めないためにも、ジュース類の摂取は控えめにしましょう。
また「牛乳」は、人間の体温を上げて発汗を促進する作用がある飲み物です。体内の熱を逃がすことができず、さらに水分も失われてしまうので、別の飲み物を選択してください。

熱中症対策におすすめの「経口補水液」の作り方

熱中症予防に効果的な経口補水液は、自宅でも手軽に作れます。用意するのは以下の3つです。

・水 1リットル
・砂糖 40グラム
・塩 3グラム

これら全てを混ぜ合わせれば、経口補水液の出来上がりです。「このままでは飲みにくい」という場合は、レモンやグレープフルーツの果汁を入れるのがおすすめです。100%ジュースを少量加えるのも良いでしょう。
自宅の冷蔵庫に常備しておけば、いつでも手軽に摂取できます。夏の麦茶と同様に準備してみてはいかがでしょうか?

上手な水分補給で厳しい季節を乗り切ろう!

熱中症は、人の生命を奪いかねない危険な症状です。暑さや喉の渇きを我慢するのは禁物で、特にリスクの高い日は冷房の効いた室内で静かに過ごすと良いでしょう。
「熱中症対策には水分補給が大切」とわかってはいても、飲み物の種類までは意識していなかったという方も多いのではないでしょうか。水分と塩分のバランスを意識して、猛暑が続く日々も健康に乗り切っていきましょう。