私たちの生活に身近なお茶は、ちょっとした工夫でさらに美味しくなることをご存知ですか? 普段何気なく淹れているお茶ですが、ぜひ、より美味しく楽しむための工夫を取り入れてみてください。
今回はお茶の種類別に、美味しく淹れるためのコツや水選びのポイントについて解説します。

煎茶の美味しい淹れ方

私たち日本人にとって、馴染み深いお茶と言えば煎茶です。身近な分、「普段なんとなく淹れている」という方も多いのではないでしょうか?
美味しく淹れるためのポイントは、ひとつひとつの手順をしっかりこなすということです。

まずは、茶葉の量をしっかりと計量しましょう。

1人分の煎茶120ミリリットルに必要な茶葉の量は、4グラムです。お茶の量を増やしたい場合、水の量に合わせて茶葉も増やしてください。
また、煎茶を淹れるのに適したお湯の温度は、約70~80度です。
温度調節機能がついた、電気ケトルを使用するのがおすすめです。ケトルにお水を淹れたら、一度しっかりと沸騰させましょう。
その後、70~80度程度まで温度を下げます。

急須に茶葉を入れ、全体にお湯をまわしかけたら、茶葉が開くまで約1分待ちます。
茶葉が開き、色や香りが存分に楽しめるようになったら、急須を数回まわしたのちに、それぞれの湯呑みに均等に注いでいきましょう。

急須で煎茶を淹れる場合、淹れ始めがもっとも薄く、そこから徐々に濃くなっていきます。
全ての湯呑みに少しずつお茶を注ぎ入れて、全体のバランスが同じになるよう意識してみてください。
このとき、最後の1滴までしっかりと注ぎきることがコツです。
急須の中にお湯を残さないことで、二煎目、三煎目のお茶も美味しく楽しめるでしょう。

温度調節機能がついた電気ケトルがない場合、適温のお湯を用意するのに苦労する方も多いのではないでしょうか?
いったん沸騰させたお湯を冷ます方法はいくつかありますが、おすすめは氷を加えて調節する方法です。

1リットルのお湯の温度を10度下げるためには、キューブ型の氷が3つ必要です。
お湯の量と温度に合わせて、氷の量を調整しましょう。

ちなみに、お湯をいったん湯呑みに入れて冷ます方法もありますが、やや時間がかかります。
また、温度低下のスピードが当日の気温に左右されるため、経験が浅いと見極めが難しいという特徴があります。
氷が用意できない場合、温度計を使用すると、より確実に適温のお湯を準備できるでしょう。

ほうじ茶の美味しい淹れ方

ほうじ茶は、独特の香ばしさが特徴的なお茶です。
その香りを存分に引き出すことが、美味しいお茶を入れるためのコツと言えるでしょう。

ほうじ茶を入れる場合も、重要なのは茶葉の量とお湯の温度です。1人分の茶葉の量は3グラム、お湯の量は130ミリリットルで準備しましょう。
やや大きめの急須を用意して、茶葉を入れたら、95度のお湯を一気に注ぎ入れます。
その後、30秒ほど待ってから、それぞれの器に注ぎ入れてください。
器も、やや大きめのものを選択するのがおすすめです。

ほうじ茶が煎茶よりも高い温度のお湯を使うのは、高温で一気に香りを立たせるためです。
温度が下がり過ぎないよう、注意してください。

「温度が高いと、渋みが強く出てしまうのは…?」と不安になる方もいるかもしれませんが、ほうじ茶はもともと、にがみ成分が少ないことで知られています。
浸出時間も短めですから、ぜひ熱々のタイミングから楽しんでみてください。

ほうじ茶以外にも、番茶や玄米茶もこちらの方法で淹れるのがおすすめですよ。

お茶に適した水の種類は?

お茶を美味しく淹れるためには、もちろん水の種類も重要なポイントになります。
水が変われば、当然お茶の味も変わってきますから、ぜひこだわってみてください。

お茶を淹れるのに適した水は、「軟水」です。
日本の水道水は軟水ですし、ミネラルウォーターを使う場合も、国産のものであれば軟水が多いでしょう。
ミネラル類を多く含んだ硬水は、お茶を淹れるのには適していません。
お茶のにがみが上手く抽出できず、にがみと渋み、そして旨みのバランスが崩れてしまいます。
また日本茶を淹れるのに最適なpH値は、7.0程度です。弱アルカリ性の水を準備してください。

このような条件に合致した水で、もっとも手軽に入手できるのは水道水でしょう。
ただし、水道水をそのまま使うと、カルキ臭がそのままお茶に移ってしまう恐れがあります。
一晩汲み置きしておいた水の上澄みのみを使ったり、沸騰させたあと5分以上煮沸したりすることで、カルキ臭が気にならなくなります。

こうした手間を嫌う場合には、浄水器の水を使うと良いでしょう。いつでもすぐにお湯を準備できる、ウォーターサーバーもおすすめです。

水や淹れ方にもこだわって奥深いお茶の世界を楽しんでみよう

水や淹れ方にもこだわって奥深いお茶の世界を楽しんでみよう
お茶の味の好みも人それぞれで、「にがい方が好き」という方もいれば「甘い方が好み」という方もいるでしょう。
まずは美味しい淹れ方の基本を身に付け、その上で、好みのアレンジを楽しんでみてください。
たとえばほうじ茶の場合、浸出時間を長くすれば濃い味わいを楽しめます。
煎茶なら、にがみが強めの大人っぽい味わいを満喫できるのではないでしょうか。

日本の水道水はお茶を淹れるのに適した条件が揃っているものの、カルキ対策だけは忘れないようにしましょう。
ぜひ美味しいお茶で、リラックスタイムを楽しんでみてください。